介護・福祉の事例紹介の書き方!事例検討から発表のまとめ方まで解説

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • 介護の事例発表って、どうやってまとめればいいの?
  • 事例レポートの具体的な書き方やまとめ方を知りたい
  • 事例紹介を作成する流れを具体的に教えてほしい

介護の事例発表では、事例の選定からレポートの書き方、そして発表のまとめ方まで整理して進めることが大切です。

この記事では、介護・福祉の事例発表をする際のテーマの選び方から具体的な書き方まで詳しく解説します。

実際のステップごとに、例を挙げて書き方を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

介護の事例発表で目指すこと

介護の事例発表で目指すことは、単なる情報共有だけではありません。
事例発表を通じて、実際のケアや支援に対する新たな視点を得ること、そして自分自身の介護の質を高めることが重要な目的となります。

事例発表は、介護現場で直面する問題や課題を他者と共有し、その解決策や対応策を探る機会です。
こうしたプロセスは、より客観的な視点を得られ、アプローチを見直すことに繋がります。

さらに、自身の介護内容を整理して、他者に伝えるスキルを磨く場でもあるのです。
普段は、無意識で行っていることを言語化することで、新人への教育も上手くなります。

介護の研究テーマを一覧で紹介

主な介護の研究テーマのは、以下の16種です。

  • 食事・栄養・口腔ケア
  • 排泄・入浴ケア
  • 認知症ケア
  • ターミナルケア・医療との連携
  • 安全管理
  • アクティビティ・リハビリ・レクリエーション
  • ケアプラン・相談援助
  • ユニットケア・グループケア
  • 人材育成・業務改善と効率化
  • その他(施設系)
  • 地域密着(グループホーム)・小規模多機能
  • 地域包括支援センター
  • デイサービス事業
  • 訪問介護・居宅介護支援事業
  • 養護・軽費・ケアハウス等
  • その他(在宅系)

介護の研究テーマは様々で、日常的なケアから職員体制の構築、業務改善など幅広いです。

あなたのケアを振り返って、どのテーマで書きたいかを考えてみましょう。

事例レポートの書き方

事例のレポートを作成する際には、どのような支援が行われたかについて具体的に書くことが重要です。

まず、レポートの冒頭では、利用者の基本的な情報を簡潔にまとめます。
たとえば、年齢・年齢、性別、要介護度、既往歴などを示すと、レポートを読む人に親切です。

次に、支援内容について記述するときは、利用者との関わり方や、支援開始から現在までの変化を具体的に説明します。
支援のステップごとに、何を目標にして、どのような方法で介護したかを明確にすることが大切です。

レポートの最後には、支援の結果や今後の課題についての考察を行います。
この部分で、支援がどう成功したか、今後に改善すべき点があるかなど、次のステップに向けた内容を書きましょう。

事例を発表する際のまとめ方

事例をまとめる際には、レポートを見る人が分かりやすいような工夫が必要になります。

中でも、パワーポイントを使用した発表は、視覚的に情報を伝えることができるため効果的です。
スライドでは、文字を多く書きすぎず、箇条書きにしたり文字に色を付けたりして重要なポイントを強調します。

また、プレゼンテーションの冒頭にて発表の目的を簡潔に説明すると、見る人が全体の内容を理解しやすくなるでしょう。
例えば、「認知症ケアにおけるリハビリの成功事例」といったように、事例の内容が一目で分かるタイトルが理想的です。

他にも、支援結果のスライドで、ビフォーアフターの写真や、改善状況のグラフなどを示すと見やすくなります。
このように、事例をまとめる際には、見る人に伝わりやすい工夫をすることが大切です。

【例あり】介護・福祉の事例発表を流れで解説!

ここからは、具体的なステップで事例発表を作成する方法を解説します。

STEP

研究テーマの選び方

STEP

事例検討の考え方

STEP

事例の紹介内容の書き方

STEP

パワーポイントへのまとめ方

STEP

タイトルの付け方

それぞれの具体例も3つずつ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

また、これらを紹介した後には、事例を報告する前の最終チェックリストも用意しています。

1、研究テーマの選び方

まず、研究テーマの選び方としては、具体的な経験に基づいて選ぶのが最も理想的です。
あなたが実際に体験したテーマを選ぶことで、内容の深い事例を書くことができます。

他の方法としては、利用者やご家族からのフィードバックを基にテーマを設定するのも有効です。
あなた自身では気づいていなくても、周りから見ると上手く行った事例があるかもしれません。

それでも選べない場合は、課題感を抱えている人が多いテーマを選ぶのも良いでしょう。
あなたの事例をシェアすることで、困っている他の誰かの参考になると嬉しいですよね。

高齢者が食事をうまく取れず、栄養状態が悪化している場面を見て、栄養管理の難しさを実感しました。この経験から、「高齢者の食事と栄養管理における効果的な介護支援」というテーマを選び、食事介助や栄養バランスの調整方法について研究しました。

認知症の高齢者が食事中に誤嚥しそうになる場面に出くわし、安全な食事介助がいかに重要かを痛感しました。その体験をもとに、「認知症高齢者における食事介助と誤嚥予防の実践」というテーマでまとめ、認知症ケアにおける食事介助のポイントと安全性向上の方法を研究しました。

訪問介護中に、高齢者が排泄に関して不安やストレスを感じている状況に直面しました。この体験から、「排泄ケアにおける高齢者の心理的負担を軽減するアプローチ」というテーマを選び、排泄ケアの方法と心理的支援の重要性について研究しました。

2、事例検討の考え方

次に、事例検討を行う際には、どのような情報を発表したいかを先に整理することが大切です。
いきなり事例をまとめようとすると、情報が多くなり混乱してしまう恐れがあります。

そのため、情報を適切に分けて考えることで、内容をスムーズに整理できます。

例えば、食事介助に関する事例では、まず利用者の食事に関する課題(例えば、食べ物の嗜好や食事を摂る際の身体的な制約)をリストアップします。
その次に、その課題に対してどのような支援が行われたか、支援の過程でどのような問題が生じたかを時系列で整理してみるというイメージです。

また、認知症ケアにおける事例の場合、利用者の認知機能の状態やそれに伴う行動を詳細に把握します。
その上で、認知機能の変化に応じた介護の工夫や家族とのコミュニケーションの様子を具体的に書き出すと、全体像が見えやすくなるでしょう。

最後に、排泄ケアにおける事例では、利用者の排泄に対する身体的な問題と心理的な不安を分けて考え、どの支援がどの部分に作用したかを明確にします。
このように情報を段階的に整理すると、事例全体が明瞭に見え、発表する際の内容も自然と整理されるのです。

3、事例の紹介内容の書き方

3つ目に、具体的な内容の書き方について、例を踏まえて解説します。

前提として、見る人が分かりやすいように、できるだけシンプルかつ具体的な内容にするのがポイントです。

まず書くべきは、利用者の基本情報です。ここでは、利用者の年齢、性別、病歴、介護度、生活環境など、基本的なプロフィールを記載します。
例えば、「85歳、女性、要介護3、自宅で娘と同居し、認知症を患っている」などです。これにより、見る人は事例の全体像をすぐに把握できるようになります。

次に書くのは、介護の経過と支援内容です。支援がどのように始まり、どのような支援が提供されたのかを、時系列に沿って明確に記述します。
「2019年4月に訪問介護を開始。最初は食事介助が中心であったが、次第に認知症の進行に伴い、排泄ケアや見守りが必要となった」などと書くことで、状況の変化をシンプルに記録します。

最後のまとめとして書くのは、結果と改善です。この事例ではどのような課題に直面し、それに対してどのような対応が取られたのか、さらにその結果どうなったかを示します。
「認知症により昼夜逆転が見られたため、日中の活動を増やし、夜の睡眠を促進する試みを行った。その結果、夜間の不安行動が減少し、生活リズムが改善された」というように具体的に結論をまとめましょう。

このように、事例報告では情報の流れを明確にし、直感的に理解しやすい書き方にすることが重要です。

4、パワーポイントへのまとめ方

事例内容を書き終えたら、あと一息です。
見る人により伝わりやすくするために、パワーポイントで視覚的に要点をまとめます。

次のポイントを押さえると、見やすいスライドを作成することが可能です。

  1. シンプルなデザインを意識すること
  2. フォントサイズや配色に配慮すること
  3. 画像や表・グラフを活用すること

まず1つ目に、シンプルなデザインを意識し、1スライドにつき1メッセージを明確にするようにしましょう。

情報を詰め込みたくなるところをグッとこらえて、テキストの量を最小限にすることで見やすいスライドになります。

次に2つ目のポイントとして、フォントサイズや配色に配慮することも重要です。
フォントは最低でも24ptにすることで、見やすいサイズに統一することができます。

また、配色についても、使用する色はできるだけ3つ以内に抑えましょう。
色の種類が多過ぎると情報が散らばった印象になってしまい、読みにくくなってしまうためです。

最後に3つ目として、画像や表・グラフを活用して、視覚的にメッセージを伝えるようにします。

たとえば、利用者の状況経過を示す場合は文字だけでなく、グラフを使えるかもしれません。
他にも、利用者について説明する際は、イメージ画像を付けると直感的に状態が分かりやすいです。

このようにパワーポイントのスライドを工夫することで、見る人に上手く伝えることができます。

5、タイトルの付け方

最後に5つ目のステップとして、タイトルの付け方について紹介します。

タイトルでは、以下3つの要素を意識するのがオススメです。

◼️ケアの目的や課題に焦点を当てる
→今回発表する事例内容を端的に示すことで、何についての説明かが分かりやすいです。(例:「転倒予防」「認知症ケア」など)

◼️ケアの方法を明確に示す
→ケアを行う際の具体的なアプローチを伝えることで、より内容がイメージしやすくなります。(例:「チームケア」「アセスメント」など)

◼️利用者本位の意思を含む
→介護では、利用者個人の尊厳が重視されています。ケアを工夫する理由が、利用者本位を達成するためであることを強調することが可能です。(例:「〇〇様らしさを取り戻す」「その人らしく」など)

これらの要素をタイトルに含むことで、発表を見る人に対して共感や関心を引きつけやすくなります。

事例報告前のチェックリスト

ここまでで、事例紹介を完成させることができたら、報告する前に最終チェックを行いましょう。

せっかく良いものができたのに、初歩的なミスで評価されないのは悲しいですよね。

そのため、チェックリストを用意したので、あなたの発表内容と照らし合わせてご確認ください。

事例報告の前に必ず確認すべきチェック項目は、以下の5つです。

  • 項目の抜け漏れはないか?
  • 誤字・脱字はないか?
  • わかりにくい記述や曖昧な表現はないか?
  • 利用者やご家族に、事例提出の承諾を得ているか?
  • 個人が特定できるような情報は記載されていないか?

ここまで、お疲れ様でした。あなたの思うような事例紹介ができていれば嬉しいです。

まとめ

この記事では、介護・福祉における事例紹介の書き方について解説しました。

事例発表は、普段行っているケアを振り返り、他の人と共有することで新しい視点を獲得できる機会です。
また、自身のケアの内容を整理して、他者に伝えるスキルを磨く場でもあります。

介護の研究テーマ一覧から発表するテーマを選び、事例について具体的に書きましょう。
そして、発表する際には、視覚的に情報を伝える工夫が求められます。

実際の流れに沿って、5ステップで事例発表を作成する方法を紹介しました。

  1. 研究テーマの選び方
  2. 事例検討の考え方
  3. 事例の紹介内容の書き方
  4. パワーポイントへのまとめ方
  5. タイトルの付け方

事例報告前のチェックリストも用意していますので、ぜひ最終チェックをしてみてください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

以下の記事では、ケアカンファレンスの理想的な進め方についても解説しています。

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