【最新版】国家公務員や地方公務員の介護休暇について分かりやすく解説

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • 公務員が取得できる介護休暇について知りたい
  • 介護休暇中の給与の扱いって、どうなるの?
  • 実際に申請する手続きと必要な書類を教えてほしい

公務員の介護休暇制度は、一般的な企業の休職制度と少し異なります。

そして、国家公務員でも地方公務員でも、介護休暇制度の内容は基本的に同じです。
ただ、地方公務員の場合は自治体ごとに決まりがあるため、この記事では政府が公表している制度について紹介します。

公務員の介護休暇・短期介護休暇について、取得の条件や給与の扱い、手続きの流れを詳しく解説する記事です。

介護休暇の他にも、公務員が利用できる介護支援制度を丁寧に紹介していますので、ぜひご覧ください。

目次

公務員の「介護休暇」とは?

公務員の介護休暇とは、介護のために仕事を一定期間休むことができる制度です。

介護を必要とする家族1人につき通算6ヶ月の期間、勤務しないことが認められます。
その期間は、1日ずっと仕事を休んだり、1日4時間は介護のために休んで他の時間で仕事と両立したりが可能です。

休暇を取得できる期間は「通算」で6ヶ月ですので、最大3回まで分割することができます。
たとえば、1回目:1ヶ月間、2回目:4ヶ月間、3回目:1ヶ月間というように休めるということです。

介護休暇を利用するケースとしては、以下のような場合が多くなります。

  • 介護施設に入所するための手続きを進める
  • 介護のために住宅改修工事を行う
  • 終末期ケアで、看取りに集中する

介護休暇中の給与については、勤務しない時間の給与額が減少するという扱いになります。

なお、国家公務員共済組合から「介護休業手当金」が支給されるという制度があります。
具体的には、介護休暇中に1日単位での休暇を取得した日数を通算して66日まで、給与の標準報酬の日額の約67%が支給される制度です。

このように、介護休暇を上手く活用すれば、仕事と介護の両立がしやすくなります。

公務員が介護休暇を取得できる条件

公務員が介護休暇を取得するには、職員と対象家族の双方が条件を満たす必要があります。

まず、職員として必要な条件は、要介護状態の家族を介護していることです。
この条件は、介護休暇の取得を考えるほど介護が必要な状態にある方であれば、ほとんどの方が該当するかと思います。

そして、介護を受ける家族側にも条件があり、以下の家族が対象となります。
この条件も、家族として認められる範囲が広いため、ほとんどの方が対象になるでしょう。

〈同居不要の対象家族〉

  • 配偶者
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

〈同居が必要な対象家族〉

  • 父母の配偶者
  • 配偶者の父母の配偶者
  • 子の配偶者
  • 配偶者の子

職員も家族も対象となる条件が広いため、まずは上司などに相談してみると良いでしょう。

介護休暇を取得するための手続き

ここでは、実際に介護休暇を取得するための具体的な手続きを紹介します。

まずは、休暇簿(介護休暇用)によって請求することが一般的です。
休暇を取得する開始日と終了予定日の期間をあらかじめ考えた上で、開始日の1週間前までに申請しましょう。

介護休暇を請求する場合は、基本的に2週間以上の休暇期間について一括で請求します。

準備すべきものとして、対象家族が要介護状態であることを証明する書類が必要です。
多くの場合、要介護認定の結果通知書や医師の診断書などが用いられます。

また、対象家族との関係性を証明できる書類として、住民票なども用意しておくとスムーズです。

介護休暇を取得する際は、業務の引き継ぎなどが必要になるため、早めのスケジュールで動くようにしましょう。

公務員の「短期介護休暇」とは?

公務員の短期介護休暇とは、介護の対応が必要になった場合、一時的に仕事を休むことができる制度です。

介護を必要とする家族1人につき年間5日まで、勤務しないことが認められます。
もし要介護の対象家族が2人以上の場合は、年間10日まで休暇を取得可能です。

短期介護休暇を取得すると、1日単位もしくは1時間単位で休んで、介護に時間を充てられます。

主な利用イメージは、以下の通りです。

  • 通院のために送迎して付き添う
  • 介護サービスを利用するための手続きを行う
  • 突然の体調不良が発生した際に対応する

短期介護休暇中の給与については、有給(特別休暇)として扱われます。

そのため、制度を知っておくだけでも、いざという時に安心して活用できるでしょう。

短期介護休暇を取得するための条件

短期介護休暇を取得するための条件は、基本的に介護休暇と同じです。

改めて条件を説明すると、職員は要介護状態の家族を介護している必要があります。

そして、対象となる家族の条件も、以下のように同じです。

〈同居不要の対象家族〉

  • 配偶者
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

〈同居が必要な対象家族〉

  • 父母の配偶者
  • 配偶者の父母の配偶者
  • 子の配偶者
  • 配偶者の子

1点だけ介護休暇と異なる点として、家族を介護する職員本人でなくとも、その他の必要な世話(手続きの代行など)を行う職員も短期介護休暇の対象になります。

そのため、自身の業務量や必要な世話を総合的に判断した上で、同僚などに助けを求めるのも良いでしょう。

短期介護休暇の取得に必要な書類

ここから、短期介護休暇を取得するにあたって必要な書類や手続きの流れを解説します。

まず申請する際は、休暇簿(特別休暇用)によって短期介護休暇を請求しましょう。
介護休暇の申請では休暇簿(介護休暇用)を使用するため、異なる点に注意が必要です。

手続きにあたって準備すべき書類は、以下の2つになります。

  • 要介護状態を証明する書類(要介護認定の結果通知書など)
  • 対象家族との続柄を証明する書類(住民票など)

提出するタイミングは、基本的に休暇取得の数日前までに提出しておくのが望ましいです。
ただ、緊急時にやむを得ない場合には、事後提出が認められる場合もあります。

普段から上司や人事担当者へ相談しておくことで、急な休暇が必要になったとしても、周囲の理解を得られやすいでしょう。

介護休暇の他に利用できる介護支援制度

「介護休暇があるのは分かったけれど、他にも柔軟な選択肢があれば嬉しい」と感じる方もいると思います。

この章では、介護休暇の他に利用できる介護支援制度を7つご紹介します。

  • フレックスタイム制
  • 早出遅出勤務
  • 休憩時間の短縮
  • 休憩時間の延長
  • 超過勤務の免除
  • 超過勤務の制限
  • 深夜勤務の制限

それぞれの制度の特徴を分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

フルタイム勤務のまま勤務時間を変更できる制度

公務員が介護をしながらフルタイム勤務を続けるために、勤務時間を柔軟に変更できる制度を4つ紹介します。

1、フレックスタイム制

1日の勤務時間を7時〜22時の間で早めたり遅めたり、短くしたり長くしたりできる制度です。
そうすることで、週単位で見たときの合計勤務時間は変えないまま、柔軟な時間帯に働くことができます。

2、早出遅出勤務

1日の勤務時間の長さを変えることなく、始業・終業時刻を動かせる制度です。
たとえば、朝早く勤務を始めて夕方の介護時間を確保したり、またその逆も調整できます。

3、休憩時間の短縮

昼の休憩時間を通常より短くすることで、始業時刻を遅くしたり終業時刻を早くしたりできる制度です。

4、休憩時間の延長

昼の休憩時間を延長したり、昼とは別に休憩を設けたりして、介護に必要な範囲で休憩を延長できる制度です。
なお、延長する休憩時間の直前もしくは直後に、在宅勤務をする場合に限り利用できます。

これらの制度は、給与に影響を与えず、柔軟な働き方でフルタイム勤務を続けられる制度です。

超過勤務や深夜勤務を避けられる制度

公務員が介護と仕事を両立するために、超過勤務や深夜勤務を制限する制度を3つご紹介します。

1、超過勤務の免除

時間外労働(残業)を免除できる制度です。
職場で超過勤務が常態化している場合でも、この制度を利用すれば定時退勤が確保されます。

2、超過勤務の制限

月の残業時間を24時間以内、年間では150時間以内に抑えることができる制度です。
一定の範囲で業務を続けつつも、長時間労働を減らせるため、介護の計画を立てやすくなります。

3、深夜勤務の制限

午後10時から翌朝5時までの深夜勤務を免除できる制度です。
夜間の介護が必要な場合や、夜勤による身体的な負担を軽減したい場合に適しています。

制度を利用する場合は、「超過勤務制限請求書」「深夜勤務制限請求書」などを用いて事前に請求しておくことが必要です。

テレワークなどで働き方を変える方法も

介護支援制度の他に、テレワークなどで働き方を変える選択肢もあります。

テレワークは、勤務時間や勤務場所を柔軟にし、状況に応じて時間を有効に使える働き方です。
たとえば、朝の通院や午後の見守りに合わせて、勤務時間を調整することができます。

このように柔軟な働き方ができると、介護に対応しやすいだけでなく、仕事への影響も最小限に抑えられるでしょう。
前述したような制度と組み合わせることで、持続的に仕事と介護を両立しやすくなります。

【Q&A】よくある質問

最後に、よくある質問として、Q&A形式で細かなトピックについて解説します。

  • 公務員が介護休暇を6ヶ月以上取得する方法は?
  • 毎日の勤務時間を少し減らす制度はある?
  • 介護休暇に関して国家公務員と地方公務員の違いは?

もし気になるトピックがあれば、詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

Q、公務員が介護休暇を6ヶ月以上取得する方法は?

公務員の介護休暇は、基本的に対象家族1人につき通算6ヶ月と定められている制度です。

しかし、内閣人事局が公表しているパンフレットの9ページにある介護休暇の欄では、以下のように書かれています。

※異なる要介護状態になった場合には再取得可

引用:内閣官房内閣人事局「国家公務員の仕事と介護の両立のために

つまり、すでに介護休暇を6ヶ月間利用し終えたとしても、対象家族の要介護状態が変化した場合は再び介護休暇を取得できると考えられます。
たとえば、病状が悪化したり新たに認知症が発覚したりした際には、再度相談してみるのも良いかもしれません。

Q、毎日の勤務時間を少し減らす制度はある?

公務員には、毎日の勤務時間を短縮して介護の時間を確保できる「介護時間制度」が用意されています。

連続する3年間の期間内で、1日につき最大2時間まで勤務時間を短縮することができる制度です。
つまり、最大2時間まで始業を遅らせたり終業を早めたりすることができます。

30分単位で柔軟に設定でき、通院の付き添いや施設への送迎などに時間を充てられるのです。
介護者が無理なく仕事と家庭のバランスを取れるため、身体的・精神的負担が軽減されます。

ただし、勤務しない時間の給与額は減少する点に注意が必要です。
制度を利用するにあたっては、休暇簿(介護時間用)によって請求しましょう。

Q、介護休暇に関して国家公務員と地方公務員の違いは?

介護休暇に関して、国家公務員と地方公務員では、どちらの制度も基本的な枠組みは共通しているものの、多少内容が異なる場合があります。

なぜかと言うと、地方公務員の場合は各自治体の条例によって制度が設定されているためです。

国家公務員の場合、介護休暇は人事院の規則に基づいて一貫して運用されています。
一方で、地方公務員は、自治体ごとに具体的な取得条件や手続きに差があることも少なくありません。

そのため、地方公務員の方は、所属する自治体の制度を個別に確認することが必要です。
地方自治体によっては、国家公務員より手厚い制度を提供している場合もあります。

いずれにせよ上司や人事担当者に申請することになるため、前もって制度を確認しておくと良いでしょう。

【まとめ】制度を活用して仕事と介護を両立しよう

この記事では、公務員の介護休暇制度について詳しく解説しました。

公務員の「介護休暇」は、以下のとおりです。

  • 通算6ヶ月の間、休むことができる
  • 勤務しない時間の給与は減少する
  • 休暇簿(介護休暇用)によって請求する

公務員の「短期介護休暇」は、以下です。

  • 年間5日間、休むことができる
  • 有給(特別休暇)として扱われる
  • 休暇簿(特別休暇用)によって請求する

また、介護休暇の他にも、公務員が利用できる介護支援制度を紹介しています。

  1. フレックスタイム制
  2. 早出遅出勤務
  3. 休憩時間の短縮
  4. 休憩時間の延長
  5. 超過勤務の免除
  6. 超過勤務の制限
  7. 深夜勤務の制限

このような介護支援制度を使うと同時に、介護の負担を減らすサービスを活用すると、さらに仕事と両立しやすくなります。

「ラクカイゴ」は、あなたの介護を楽にするサービスを簡単に見つけられるWebサイトです。

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公式ページから介護の悩みを選択するだけで、仕事と介護の両立がしやすくなりますので、ぜひ試してみてください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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