この記事は、以下のような方にオススメです。
- 転倒を繰り返す高齢の親が心配な方
- 転倒が原因で介護が必要になるのではと不安を感じているご家族
- 高齢者向けの転倒防止グッズを探している方
この記事では、高齢者の転倒防止について詳しく解説します。
「高齢の親が何もない場所でつまずく…」「足腰が弱ってきて、転ばないか心配」など、不安を感じていませんか。
しかし、「具体的にどう対処すれば良いのか分からない」という方も多いでしょう。
この記事では、高齢者の転倒によるリスクや、転倒しやすい人の特徴・原因、対策などについてわかりやすく解説します。
高齢者が転倒すると、どうなる?
「ちょっと尻もちをついただけなのに、入院して介護が必要になった」といった話を耳にしたことがある方も多いでしょう。
高齢者は、薬の副作用や新陳代謝の低下によって骨がもろくなっており、少しの衝撃でも骨折するリスクが高いのです。
また、老化とともに回復力が低下するため、1度でも骨折すると長期間の安静が必要になります。
そのまま筋力や認知能力が低下し、寝たきりになるケースも珍しくないのです。
しかし、転倒時に怖いケガは骨折だけではありません。
高齢者は運動能力の低下により受け身が取りにくく、軽い転倒でも脳挫傷などの重大なケガにつながるケースが多いのです。
転倒の不安から外出を控える「閉じこもり問題」
上記で紹介したように、高齢者の転倒にはさまざまなリスクがあります。
その中でも深刻なのが、外出を控えて家に閉じこもる問題です。
しかし、転倒への不安から外出を控えることは、可能な限り避けた方が良いでしょう。
1日のほとんどを家で過ごす「高齢者の閉じこもり」は、活動量を減少させ、運動機能の低下を引き起こします。
外出や人とのコミュニケーションといった脳への刺激が不足するため、認知症リスクも高まってしまうのです。
転倒しやすい人の特徴を紹介!
転倒しやすい人には、普段の生活の中で見られる特徴がいくつかあります。
加齢による筋力の衰えや病気など原因はさまざまですが、以下のような特徴がある場合は対策が必要です。
- 歩幅が狭く、ゆっくりと歩く
- つま先が上がらず、すり足で歩く
- 視力や聴力が低下し、車や自転車に気づきにくい
- 階段を上る際、足をそろえて1段ずつのぼる必要がある…など
たった1度の転倒がきっかけで、寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。
「転ばぬ先のつえ」という言葉があるように、転倒に対しては事前の予防が重要です。
高齢者が転倒しやすくなる原因は2種類
「どうして歳を重ねると転倒しやすくなるの?」と、疑問に思う方もいるでしょう。
高齢者がよくつまずいたり転倒を繰り返す原因として、以下の2つが考えられます。
- 原因1:加齢や病気による体の変化
- 原因2:身体能力に合わない生活環境
裏を返せば、原因にあわせて転倒予防や対策をすれば、転倒リスクを低減することが可能だということです。
以下で、それぞれの原因や具体的な対策方法について詳しく解説します。
原因1:加齢や病気による体の変化
体の変化による転倒の原因について、具体的には以下のとおりです。
- 筋力の低下:
・膝が上がらず、ちょっとした段差でつまずく
・猫背になり、バランスが悪くなる
・ふらついた際に姿勢を立て直せない - バランス感覚の低下:
・ふらつきが増える - 聴覚や視覚の低下:
・段差や障害物が見えにくい
・自転車や車の気配に気づかない
年齢を重ねると、運動能力が衰え、体を支える筋力が低下します。
そのため、つまずいた際に体を支えきれず、少しバランスを崩しただけでも転倒してしまうのです。
また、判断力や反射神経も低下するため、転倒時にとっさに受け身がとれず、頭を打って大ケガにつながることもあります。
視覚や聴覚が低下し、後ろから近づく自転車や車に気づかず、接触事故が起きることも少なくありません。
さらに、服薬による眠気やめまいが原因で転倒につながるケースもあります。
副作用によって骨がもろくなることも多いため、服薬が多い方は注意しましょう。
対策1:リハビリや転倒予防トレーニングで筋力維持を
バランス感覚や筋力を維持するために、リハビリや転倒予防トレーニングを行いましょう。
転倒予防というと、足の筋力に注目しがちですが、全身をバランスよく動かすことが大切です。
転倒時に手をついたり、腕をしっかり振ってバランスよく歩いたりするためにも、普段から全身を動かしておきましょう。
原因2:身体能力に合わない生活環境
生活環境による転倒の原因について、具体的には以下のとおりです。
- 段差や階段の多い家:
・日常生活でつまずく機会が多い
・段差を乗り越える際、バランスを崩しやすい - 床にコードや物がある:
・障害物に気づかず、引っかかる
・狭い廊下などで無理に避けようとしてバランスを崩す - サイズの合っていない靴:
・歩きにくく、つまずきの原因になる
・足元に注意が集中し、自転車や車に気づきにくい
長年住み慣れた家であっても、年齢を重ねると危険を感じる場所が増えてきます。
「敷居の小さな段差」や「カーペットの端」など、これまでは気にも留めなかった場所でつまずき、転倒するケースが多いのです。
また、座布団やティッシュなど、床に直接置かれている物も転倒の原因になります。
特に廊下は暗く、物が置かれていることに気づきにくいため、注意が必要です。
認知能力が低下すると、物が片づけられず床に置きっぱなしにすることが増えるため、ご家族は普段から気をつけておきましょう。
対策2:家のバリアフリー化で対策を
生活環境による原因に対しては、すぐに取り入れられる対策が多くあります。
例えば、床に置かれた物を片づけたり、歩きやすい靴に変えるだけで転倒リスクを減らせるのです。
敷居の段差や階段には、工事不要で簡単に設置できる手すりやスロープがあるため、導入を検討すると良いでしょう。
お風呂やトイレなど、どうしてもバリアフリー化に改修工事が必要な場合は、費用の補助もあります。
外出の機会が減り、多くの時間を家で過ごす方も多いかと思います。
住み慣れた家が安心して過ごせる場所になるよう、環境を整えましょう。
▼居宅介護住宅改修費の補助については、以下の記事で詳しく解説しています。
取り入れやすい転倒防止グッズを3つ紹介!
ここまでは、高齢者の転倒によるリスクや転倒しやすい人の特徴などについて解説してきました。
転倒予防や対策についても紹介しましたが、「もっと手軽に取り入れられる対策はないの?」「今すぐできる転倒予防を教えてほしい」という方もいるかと思います。
ここからは、簡単に取り入れやすい、便利な転倒防止グッズを3つ紹介します。
- 履くだけでつまずきにくくなる「転倒予防くつ下」
- 手すりのような安定感「コンパクトアシスト杖」
- 工事不要で設置できる手すり「DIPPERホクメイ」
履くだけでつまずきにくくなる「転倒予防靴下」
高齢者・障がい者向けの医療アイテムを提供する会社が開発した、転倒予防用の靴下です。
生地の伸びの違いを利用して、つま先が自然にあがるよう設計されており、つまずきを予防します。
さらに、ふんばる力を鍛える機能もあり、姿勢の改善や歩行速度の向上も期待できるでしょう。
広島大学大学院保健学科研究科と共同開発されており、その効果は看護師向けの教科書にも紹介されています。
歩きやすい靴下として、「まだ介護なんて必要ない!」という元気な高齢者の方へのプレゼントにも選ばれています。
料金:1,980円(税込み)
肌ざわりが良く、母も気に入っています。
高齢の父にプレゼントしました。足運びがスムーズになったような気がします。
つまずきやすい母が病院で勧められて購入しました。歩きやすいようで、気に入って履いています。
「転倒予防靴下」について気になる方は、こちらの記事で詳細をご覧いただけます。
手すりのような安定感「コンパクトアシスト杖」
コンパクトアシスト杖は、優れたバランス力で歩行や段差をサポートする便利な杖です。
2本の支柱と4本の足という珍しいデザインが特徴で、つかまりやすく体重をかけてもグラつきません。
手すりのような安定感で、階段や立ち上がりをしっかりサポートしてくれます。
段差に合わせて前後の足を違った長さに調節できるため、自宅の階段に高さを合わせると、リフォーム不要の手すりとしても利用できるでしょう。
料金:23,980円(税込み)
玄関先の外階段に手すりを設置するのが困難で、どうしたものかと思案していたところ、良い物に出会えました。
もう父は階段を利用できないかもしれないと思っていましたので、うれしくてちょっと泣きそうでした。
1本足の杖は、滑ったら逆に転倒するからと止めたことがありました。その危険だと思う要因を見事に解消している!
「コンパクトアシスト杖」の魅力をさらに知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
工事不要で設置できる手すり「DIPPERホクメイ」
DIPPERホクメイは、工事不要で設置できる縦向きの手すりです。
ベッドやトイレといった、不安定な姿勢からの立ち上がりをサポートします。
つっぱり棒の要領で手軽に設置できるため、リフォームできない賃貸住宅や狭い場所でも気軽に設置できます。
また、改修工事が不要なことに加え、レンタルでも利用できるため、導入費用が抑えられる点も魅力です。
料金:55,000円〜(税込み)
※レンタルも可能です
- ベッドや椅子からの立ち上がりが不安
- 賃貸で手すりの設置工事ができない
- 膝が痛く立ち上がるのが苦痛で、椅子に座っていることが多い
「DIPPERホクメイ」の手すりについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
それでも転倒が起きてしまった場合の対処法
転倒対策や予防を徹底しても、転倒リスクをゼロにはできません。
いざという時のために、転倒がおきてしまった場合の正しい対処法も知っておきましょう。
転倒が起きた場合は、以下の手順で状態の確認をします。
声をかけ、意識があるか確認する
意識がある場合は、落ち着かせるような声かけをする
痛む箇所や、吐き気がないか確認する
大きなケガはないかチェックする
転んだ直後は興奮しており、痛みを感じないことも珍しくありません。
骨折や頭部をケガしている場合、動かすと悪化させてしまう恐れがあります。
また、無理に起こすと、足元がおぼつかず、再び転倒するリスクも考えられます。
転倒直後は転んだ状態のまま動かさず、まずは大きなケガがないかを確認してください。
強い痛みがあったり意識がはっきりとしなかったりする場合は、すぐに病院を受診しましょう。
ケガや痛みがなかった場合でも、48時間は注意深く様子を見るのが大切です。
48時間のうちに、以下のような症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 常に眠たそうにしている
- 何度も嘔吐を繰り返す
- 強い頭痛がする…など
高齢者の場合、3週間〜6ヵ月ほどたってから頭に血液が溜まる慢性硬膜下血腫を発症するケースもあります。
頭痛や吐き気、脱力感や認知症のような症状が現れ、悪化するようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
【Q&A】よくある質問
- 高齢者が転倒した場合、何科を受診すればいいですか?
-
症状により、受診する科を選んでください。
- 足や腕、腰など体が痛い
- 股関節が痛く力が入らない
- 強く腫れている
→整形外科
- 頭を打った
- 意識がもうろうとしている
- 頭痛がある
→脳神経外科
- 高齢者が転倒しやすいタイミングを教えてください。
-
寝起きなどで動き始めるタイミングは、体がこわばっており転倒しやすいです。
他にも、電話や来客などで慌てて急に動く場面でも、注意が必要でしょう。また、靴やズボンの着脱で片足立ちになる際は、バランスを崩しやすいため転倒のリスクが高まります。
転倒のおよそ6割が自宅内で発生しています。
普段の生活の中で、ゆっくりと丁寧な動作を心がけるように促しましょう。 - 高齢の親が、転倒を恐れて外出を避けるようになりました。どうすれば良いでしょう?
-
転倒への不安から外出を控え、閉じこもりがちになる高齢者は少なくありません。
安心して外出できるよう、以下のような対策をするのがおすすめです。
- 杖などの転倒防止グッズを導入する
- 段差が少なく、歩きやすい道を選ぶ
- 家族や介助者が同行する
閉じこもりがちな高齢者の方は、歩行や外出に自信がない方が多いです。
しっかりと転倒予防の対策をして、安心して外出できる環境を整えましょう。
【まとめ】健康寿命を延ばせるグッズがたくさん!
この記事では、高齢者の転倒防止について詳しく解説しました。
高齢者の場合、ささいな転倒でも骨折や入院といった深刻な事態を招くことがあります。
回復に時間がかかることから、寝たきりや認知症を発症するケースも珍しくありません。
また、転倒は、ご家族だけでなく、高齢者ご本人にも大きな不安を与えます。
転倒への不安から、歩くことへの自信がなくなり、外出を控えてしまう高齢者も少なくありません。
しかし、適切な対策を講じることで、転倒のリスクは減らせます。
体操やストレッチで筋力維持をしたり、転倒防止グッズを導入したりして、安心して暮らせる環境を整えましょう。
ラクカイゴのWebサイトでは、転倒防止グッズ以外にも、高齢者の健康寿命を延ばすグッズについて紹介しています。
以下のトップページから、あなたに合った商品を簡単に見つけることが可能です。
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介護が必要な状況に陥るのを防ぐために、グッズを活用しながら健康寿命を延ばしていきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。