「兄弟が、介護に協力してくれない」と悩んでいませんか?
親の介護は、兄弟全員に義務があるため、公平に役割分担するべきです。
一人で介護を続けていると、ストレスが溜まって、体調を崩しかねません。
この記事では、親の介護負担を兄弟で公平にする方法や、実際の成功事例を紹介します。
親の介護で兄弟間の不公平が続くとどうなる?
親の介護は、兄弟全員で負担を分散させるべきです。
平均で5年以上も続く介護では、誰かが無理をしている状態だと、いつかトラブルに繋がります。
そもそも法律上、子どもには親の介護義務があるため、一人に押し付けられる状態はおかしいです。
介護によって疲れが溜まると、社会から孤立したり家族が崩壊したりするリスクもあります。
親の介護で兄弟間の不公平が続くとどうなるか、リスクを知っておくことが大切です。
そもそも子どもには介護義務がある
そもそも、親の介護は誰か一人が背負うものではありません。
法律上では、親の兄弟姉妹、子ども、孫に介護義務があると定められています。
そのため、法的にも、親の介護は兄弟全員で協力して行うべきものなのです。
なお、兄弟間でどちらの方が年上か、親と同居しているかで介護義務は変わりません。
「長男だから」「近くに住んでいるから」という理由で介護が押し付けられるのは、平等でないと言えます。
余裕がなくなると孤立しがちに
介護の負担が特定の一人に偏り、それが続くと心身ともに余裕がなくなってきます。
その結果、社会との繋がりが薄れて、孤立してしまうケースが珍しくありません。
たとえば、介護に追われて仕事を辞めざるを得ず、介護離職してしまう方もいます。
しかし、兄弟からは「仕事を辞めたんだから一人で介護できるでしょ」と、さらに負担を任される結果になることも。
また、介護の疲れが溜まると、友人に相談する気力すら失ってしまうこともあります。
以前は楽しめていた趣味や娯楽からも遠ざかり、ますます介護の疲れが溜まりやすくなる悪循環です。
家族が崩壊する前に対策が必要
介護における兄弟間の不公平が放置されると、家族関係まで崩壊してしまうリスクがあります。
介護のストレスによって親を虐待してしまったり、兄弟と絶縁したりするのは避けたいところです。
このような事態になる前に、介護義務のある兄弟を集めて話し合う必要があります。
具体的には、「親の介護負担をどのように分担するか」をできる限り公平に決めることです。
また、将来的な相続についても、この機会にしっかりと話し合っておきましょう。
介護は長期戦なので、全員が納得できる形でなければ、どこかで無理が生じます。
親の介護負担を兄弟で公平に分担する方法
ここからは、親の介護負担を兄弟で公平に分担する方法を3つ紹介します。
以下3つの方法を使うのが効果的です。
- 現実的な役割分担を話し合って決める
- 休職制度を使って仕事の負担を減らす
- テクノロジーで遠方から介護してもらう
兄弟それぞれの得意分野を見つけることで、お互いが納得できる役割分担になります。
一人で介護すると負担が大きいですが、兄弟で協力すれば負担を大幅に軽減できるでしょう。
1、現実的な役割分担を話し合って決める
まず1つ目の方法として、役割分担を決めることは必須です。
主に、以下の3点について話し合います。
- 誰が介護をするのか?
- 誰が介護費用を払うのか?
- 誰が緊急対応をするのか?
兄弟全員で集まり、誰がどの役割を担うのが最も現実的かを考えましょう。
たとえば、親の近くに住んでいる人が日常的な介護をし、遠くに住む人が介護費用を払うなどです。
このとき、具体的な介護内容や介護に支払う金額を決めておくと、さらに公平に分担できます。
現時点で協力的でない兄弟には、単に「手伝って」と頼むのではなく、「なぜ手伝わないの?」と理由を聞くのが効果的です。
協力しない背景を知ることで、その兄弟の事情を踏まえた役割分担ができるようになります。
現実的な役割分担を決めることで、兄弟間の不公平感を大きく解消できるでしょう。
2、休職制度を使って仕事の負担を減らす
次に、介護の休職制度を使って仕事の負担を減らす方法について紹介します。
特に、兄弟が「俺は仕事があるから」という言い訳をして、介護を手伝わない場合に有効です。
あまり知られていませんが、介護をしている家族のための休職制度が会社で用意されています。
具体的に「介護休業制度」は、給付金を受けながら通算93日まで仕事を休める制度です。
そのため、「この休職制度で一時的に仕事を休んで、介護の役割分担を話し合おう」と提案できれば良いでしょう。
他にも、業務時間を調整したり残業を免除したりできる休職制度もあります。
このような休職制度を使えば、仕事しながらでも介護の役割を担当できるでしょう。
こちらの記事で、7種類の休職制度と、それぞれの取得条件について解説しています。
3、テクノロジーで遠方から介護してもらう
3つ目に、テクノロジーを活用して遠方から介護してもらう方法を紹介します。
特に、兄弟が「遠くに住んでいるから介護できない」と言い訳する場合の選択肢です。
テクノロジーを活用すれば、遠方に住んでいても介護に参加することができます。
たとえば、見守りロボットをベッドの近くに設置すると、危険なときだけスマホに通知が来るのです。
そうすることで、自宅で介護を担当している人が常に気を張っている必要はありません。
さらに、見守りロボットの中には、体温や心拍数などを記録できる種類もあります。
遠方の兄弟が親の身体状況を記録しておくことで、異変があったときに気づきやすくなるでしょう。
このように、見守りだけでも他の兄弟にお願いできれば、親の様子を見続けるストレスから解放されます。
親の介護で「私ばかり…」と悩む体験談
実際、親の介護で「私ばかり…」と不公平に悩んでいる方は少なくありません。
ここでは、具体的な体験談をもとに「どのように不公平な状況を解決したか」を紹介します。
(※個人を特定されないよう、仮名とさせていただきます)
実家に近いという理由で介護を任される
1つ目に紹介するのは、実家が近いという理由で介護を任された事例です。
〈悩みの状況〉
田中さん(47歳、主婦)は、夫と2人の子どもと暮らしながら、実母の介護をしています。実家が近いという理由で、介護は田中さんが中心となり、週末は必ず実家へ通い、食事の準備から通院の送迎まで全て一人でこなしていました。
しかし、兄は遠方に住んでいることもあり、介護には一切関わらず、電話で安否確認をする程度でした。そうした背景から、田中さんは睡眠不足や疲労により体調を崩すことが増え、家事や育児にも支障をきたすような状況だったのです。
〈解決した方法〉
限界を感じた田中さんは、地域包括支援センターに相談しました。そこで、ケアマネジャーから介護保険制度について詳しい説明を受け、訪問介護サービスを週3回利用することに。
さらに、ケアマネジャーから兄弟間で話し合うことを勧められたため、兄と介護の役割分担について話し合いました。話し合いの結果、兄が介護費用の7割を負担することになり、田中さんの経済的な負担を軽くできたのでした。
〈事例からの学び〉
まずは、介護の専門家がいる地域包括支援センターに相談しましょう。
そして、勇気を出して、兄弟で話し合いをしてみることが大切です。
仕事が忙しいからと協力してもらえない
2つ目に紹介するのは、仕事が忙しいからと介護に協力しない兄弟の事例です。
〈悩みの状況〉
佐藤さん(52歳、会社員)は、母親の認知症が進行したため、会社に勤めながらも毎月のように実家に帰省する生活をしていました。往復の交通費が積み重なり、かつ移動のストレスで仕事の疲れが回復しないと感じていたようです。
弟は「今、仕事が忙しいから」と協力せず、兄である佐藤さんは「自分も働いているのに」と不公平感に悩まされました。そうしているうちに、母親の認知症がさらに進行し、いよいよ本格的に介護を考える必要が出てきたのです。
〈解決した方法〉
兄は、インターネットで「介護休業制度」について知りました。そして、弟にも制度の存在を伝え、弟と同時期に休暇を取得したのです。
仕事を一時的に休んだことで、弟とゆっくりと話し合う時間ができました。そこで、お互いの役割を決めたり介護サービスを選んだりして、無理なく介護を続けられる状況を整えたのでした。
〈事例からの学び〉
仕事が忙しくて介護に意識を向けられない場合は、休職制度を活用しましょう。
無理に仕事と介護の両立を目指し、挙げ句の果てに疲れて仕事を辞めてしまうよりも良い選択肢だと言えます。
都会にいる兄弟が田舎の実家に戻らない
3つ目に紹介するのは、都会でマイホームを建てた兄弟が実家に戻ってこない事例です。
〈悩みの状況〉
山田さん(64歳、主婦)は、介護が必要な父親の世話をしています。弟は、都会に家を建てており、田舎の実家にはほとんど帰ってきません。
弟に「マイホームを手放して戻ってきて」と言うのも可哀想だからと、山田さんは一人で介護を続けていました。しかし、付きっきりで介護していた疲労と寝不足によって、あるとき体調を崩してしまったのです。
〈解決した方法〉
「これでは、私まで介護が必要になってしまう」と感じた山田さんは、弟にも介護を手伝ってもらえる方法を考えます。介護の掲示板を見ていたところ、24時間ずっと見守りできるカメラの存在を知りました。
そこで、弟に「見守りカメラを使って、遠方から父親のことを見守ってほしい」と頼んだのです。そうしたことで、山田さんは安心して眠れるようになり、介護の負担は随分と軽くなったようでした。
〈事例からの学び〉
テクノロジーを活用することで、介護を楽に続けることができます。
これまでの介護のやり方に縛られず、「もっと楽にできるのでは?」と考えてみましょう。
【Q&A】よくある質問
最後に、兄弟間での親の介護に関して、よくある質問を紹介します。
- 親の介護をしない兄弟との相続はどうする?
- 不仲な兄弟と、親の介護を分担するコツは?
- 介護費用が足りず、兄弟で話がまとまらない
親の介護をしない兄弟との相続はどうする?
親の介護で不公平な状況が続いているなら、相続についても不安を感じますよね。
結論としては、法律上では、介護の貢献度に関わらず、兄弟には平等な相続の権利があります。
しかし、これではあまりに不公平ですので、いくつかの制度が用意されているのです。
その一つに、介護を長年続けてきた人が相続において有利になる「寄与分」という制度があります。
親の財産の維持や増加に貢献した場合、貢献度に応じて相続分を増やすことができる制度です。
そのため、親の介護を続けたことで数百万円の介護費用を抑えた場合などに効果を発揮します。
ただし、寄与分が認められるには、他の相続人(兄弟など)からの同意や裁判所の判断が必要です。
一方で、遺言書があれば、親の意思によって相続の配分を調整することができます。
寄与分よりも確実な方法で、親の介護をしない兄弟よりも多く相続することが可能です。
不仲な兄弟と、親の介護を分担するコツは?
兄弟と仲が悪い場合、協力することを面倒に感じてしまうかもしれません。
それでも、一人で介護を続けるのは大変ですので、役割分担をする必要があります。
役割分担の話し合いをする際は、第三者(ケアマネジャーや弁護士など)に同席してもらうのが良いでしょう。
なるべく客観的かつ機械的に話し合うことで、意見の摩擦が起こりにくくなります。
また、分担のコツとして、お互いがなるべく接触しなくて済むように工夫しましょう。
たとえば、買い物や病院への送迎など、外出する作業を相手に任せることで、一緒に過ごす時間を減らせます。
最後に、できることであれば、関係を修復する意識も大切です。
介護が始まると会う機会が増えるため、お互いに協力する方が楽に続けられます。
親の介護に関して、兄弟間でのトラブルを未然に防ぎたいという方は、こちらの記事もご覧ください。
介護費用が足りず、兄弟で話がまとまらない
介護費用が足りず、兄弟間の話し合いが進まないことは珍しくありません。
前提として、親の介護費用は、親や配偶者が負担するのが基本です。
まず、介護費用が足りない場合は、親の経済状況を正確に把握しましょう。
年金や貯蓄、保険の加入状況などを確認し、介護に使える金額を算出します。
それでも話し合いがまとまらない場合、補助金制度や出費を抑える方法を検討しましょう。
たとえば、低所得者でも介護施設に入所できるように補助する制度などがあります。
また、親の資産を活用して、介護費用を用意するのも一つです。
具体的には、自宅を売却したり、自宅を担保に銀行から融資を受けたりする方法もあります。
こちらの記事では、親の介護でお金がない場合の対処法を詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
【まとめ】介護による家族の崩壊は避けよう
この記事では、親の介護負担を兄弟間で公平にする方法を紹介しました。
そもそも、子どもには親の介護義務があるため、一人が押し付けられている状態はおかしいです。
介護に疲れて余裕がなくなると、社会から孤立したり家族との関係が悪化するリスクがあります。
そのため、家族が崩壊する前に、以下の対策をとりましょう。
- 現実的な役割分担を話し合って決める
- 休職制度を使って仕事の負担を減らす
- テクノロジーで遠方から介護してもらう
また、具体的な体験談や、よくある質問で、個別ケースへの対処法も解説しています。
この記事で紹介した見守りロボットのように、介護を楽にするアイテムは多いです。
あまり知られていませんが、排泄や食事、入浴などの負担を大幅に軽減できます。
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介護の負担を減らして、無理なく介護を続けられるようにしましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。