「仕事と介護の両立なんて、できるのかな?」「両立するための支援があれば活用したい」
こう考える方も多いのではないでしょうか。
突然、親の介護が始まると、「仕事を辞めるべきなのか」と誰もが不安に思います。
しかし実際には、親の介護と仕事を両立するための支援はたくさん用意されているのです。
この記事では、親の介護と仕事の両立を支援する制度を7つご紹介します。
仕事と介護の両立のポイント3つ
まず最初に、仕事と介護を両立するためのポイントを3つご紹介します。
- 介護と仕事の両立支援制度を活用する
- 介護保険サービスを利用する
- 介護を楽にできる方法を知る
意外かもしれませんが、介護と仕事を両立する方法はすでに整備されているのです。
一般的に知られていないだけで、活用すれば確実に介護と仕事を両立しやすくなります。
「仕事と介護の両立なんて無理だろう」と諦めず、両立するための知識を身につけましょう。
1、介護と仕事の両立支援制度を活用する
あまり知られていませんが、介護と仕事を両立するための国の制度が存在します。
たとえば、給付金を受け取りながら長期休みを取得したり、急な介護でいきなり休んだりということが可能です。
介護のために仕事を辞める方がいると、企業としても国家としても損失が大きいため、両立支援制度が整えられました。
法律で保証されているため、従業員の休職申請を企業側が拒否することはできません。
休みを取れるだけでなく、業務時間の調整もできるため、非常に両立しやすくなります。
制度を最大限に活用することで、心の余裕を持って介護と仕事を続けられるでしょう。
2、介護保険サービスを利用する
2つ目のポイントとして、介護保険サービスを利用することも大切です。
介護が必要だと認定された方は、料金の1〜3割を負担するだけで介護保険サービスを受けられます。
うまく利用すれば、自宅で親を介護する家族にとって、大きな支えになるサービスです。
たとえば、仕事中に家族の面倒が見れないという場合、日帰りで施設に預けられる「デイサービス」があります。
また、夜間に見守ってくれる「夜間対応型訪問介護」というサービスも便利です。
これらのサービスを組み合わせることで、安心して仕事に集中する環境を整えられます。
「初めての利用で何からすれば良いか分からない」という場合は、まずお近くの地域包括支援センターで相談に乗ってもらうのがオススメです。
3、介護を楽にできる方法を知る
「介護は大変なものだ」というイメージを持っていませんか?
たしかに、昔のやり方で高齢者を持ち上げたり、転ばないように付き添って歩くのは大変でしょう。
しかし、介護を楽にする商品やサービスが次々と開発され、介護の負担は大幅に軽減できる時代になりました。
たとえば、ボタンを1つ押すだけで高齢者を持ち上げてくれるロボットを使えば、腰をかがめるときに痛みを感じることもありません。
また、高齢者が自力で立ち上がることができ、転ばないように歩ける手すりも販売されているのです。
他にも、ラクカイゴでは100種類以上の「介護を楽にするアイテム」を紹介しています。
これまでの介護のやり方に縛られず、新しいアイデアをぜひ知っていただきたいです。
このように、まだ知られていないだけで、介護と仕事の両立は決して不可能ではありません。
介護と仕事の両立を支援する制度を7つ紹介
ここからは、介護と仕事の両立を支援する制度を7つご紹介します。
- 長期休みが取れる「介護休業」
- 急な介護で休める「介護休暇」
- 業務時間を調整できる制度
- 介護で残業を免除できる制度
- 深夜の業務を免除できる制度
- テレワークに変更できる社内制度
- 公務員が利用できる支援制度
仕事しながら介護する方を支援する制度について具体的に解説します。
1、長期休みが取れる「介護休業」
介護休業は、長期的な介護の計画を立てる必要があるときに役立つ制度です。
最大93日間まで休むことができ、入院手続きや老人ホーム探しなどに、まとまった時間を使えます。
各種サービスの手続きなど、勤務を続けながらでは難しい作業も進められる点が魅力的です。
たとえば、家族が急に骨折した際や、介護のために家の改修工事を行う際などに役立ちます。
また、休業期間中の収入として「介護休業給付金」によって給与の約67%を受け取ることが可能です。
このため、介護休業の制度を利用すれば、職場でのキャリアを諦めずに、家族の介護を両立することができます。
以下の記事では「介護休業給付金」について、申請者や対象者の条件を解説していますので、もしよければ合わせてご覧ください。
2、急な介護で休める「介護休暇」
介護休暇は、急な介護が必要になったときに柔軟に休むことができる制度です。
たとえば、いきなり家族が体調を崩し、病院への付き添いが必要になった場合などに使うと良いでしょう。
また、「老人ホームの見学が平日にしかできない」という場合にも、平日の休みを取れると助かります。
この制度は、年間5日間まで休みを取得でき、1日単位や1時間単位で分割して取得できる点が特徴です。
そのため、「午前だけ休んで、午後からは働く」というような柔軟な働き方もできるようになります。
介護休業と介護休暇の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事からご覧ください。
3、業務時間を調整できる制度
直接的に休みを取れるわけではありませんが、業務時間を調整できる制度もあります。
具体的には、業務時間を短縮したり、業務の開始時刻・終了時刻を共に遅らせたりできる制度です。
介護をしていると、「あと1時間早く帰れたらなあ…」ということは珍しくありません。
この制度を活用すれば、介護のスケジュールに合わせて業務時間を調整できるため、親の介護と仕事を両立しやすくなります。
ただし、制度が複数あり、業務時間を短くできるる会社や、業務時間を調整できる会社などそれぞれです。
そのため、制度を利用する前に、人事課や総務課などに確認しておくのが良いでしょう。
4、介護で残業を免除できる制度
「残業が多いせいで、介護と仕事の両立が難しい」という場合には、介護を理由にして残業を免除できる制度が効果的です。
残業そのものを免除できる制度と、法定労働時間を超える残業時間(1か月につき24時間、1年につき150時間)を制限できる制度の2種類があります。
たとえば、夕方に家族の食事を用意する必要がある場合、定時で退社できると負担が減るでしょう。
また、「働きすぎて、介護する体力が残っていない」という方は、残業時間を制限する制度もオススメです。
残業時間を抑えることで、家族の介護に向けて時間とエネルギーを注ぎやすくなります。
5、深夜の業務を免除できる制度
深夜の業務を免除できる制度を使うと、午後10時から午前5時までの夜間の業務を無くすことができます。
この時間帯に、家で介護する必要がある方にとって、とても心強い制度です。
たとえば、認知症の家族がいる場合は、夜間に見守りができると、徘徊を防ぐことにも繋がるでしょう。
また、夜間は転倒事故が起こりやすい時間帯でもあるため、すぐに駆けつけられると安心できます。
ここまでで紹介してきた休職制度について、対象者となる条件や申請方法を、以下の記事で具体的に解説しています。
6、テレワークに変更できる社内制度
ここまで紹介してきた国の制度とは異なりますが、働き方を変更できる社内制度が用意された会社もあります。
たとえば、日中に家族の介護が必要となる場合、テレワークへの変更を相談してみても良いかもしれません。
職場への出勤時間が無くなることで、効率的に介護の時間を確保することができます。
また、部署を移動する選択肢があることも、頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
部署異動によって、職場が家の近くになったり、業務時間が減ったりする可能性があります。
直接的な休職制度ではないものの、介護と仕事を両立するための有効な選択肢です。
7、公務員が利用できる支援制度
公務員の場合、一般企業の職員とは少し異なる支援制度が用意されています。
基本的な制度内容は同じですが、休める期間や休暇中の給与の扱いが優遇されるというイメージです。
また、国家公務員と地方公務員によっても、制度が多少異なる場合があります。
特に地方公務員の場合は、申請条件などが各自治体によって定められているため、所属する自治体の条例を確認しておくことが重要です。
公務員の介護休暇制度について、休暇の条件や申請に必要な書類などを以下の記事で分かりやすく解説しています。
【ケース別】親の介護と仕事を両立する方法
最後に、親の介護と仕事を両立する方法をエピソード形式でご紹介します。
- 認知症の親を介護しながら仕事する場合
- 30代で介護と仕事の両立が必要になった場合
- 介護と仕事の両立に疲れた・きついと感じる場合
認知症の親を介護しながら仕事する場合
認知症の親を介護する場合、物忘れや徘徊、日常生活での混乱などに対応しなければなりません。
精神的なストレスを減らしながら、認知症の症状に対応することが大切です。
40代のAさんは、認知症の母親を介護しながらフルタイムで働いています。
母親は一人で食事を準備できず、夜中に徘徊することが増えたため、Aさんは睡眠不足による仕事のミスが目立つようになりました。
そこで、介護を楽にするサービスを探すことにします。
特に、夜間の見守りが大変だったため、センサー付きの見守りカメラを購入しました。
母親の部屋に設置し、ベッドから起き上がったタイミングでスマホに通知が来るように設定したのです。
これにより、夜も安心して眠れるようになり、仕事への集中力を取り戻すことができました。
30代で介護と仕事の両立が必要になった場合
30代という若さで親の介護が必要になると、「キャリアを諦めなくてはいけないのか?」と戸惑う方が多いでしょう。
まずは会社に相談して、柔軟な働き方に変更できないかを模索する必要があります。
34歳のBさんは、父親が転倒して骨折したため、急に介護をしなければいけなくなりました。
朝の通院に付き添いますが、どうしても会社の業務時間と被ってしまいます。
そこで、Bさんは会社に状況を説明し、業務時間を2時間後ろにズラしました。
これにより、通院に付きそう時間を無理のない範囲で確保することに成功したのです。
加えて、今後もしかすると急に介護休暇を取得するかもしれない旨を人事課に伝えます。
こうしたことで、Bさんは現実的に親の介護と仕事を両立する体制を整えられたのでした。
介護と仕事の両立に疲れた・きついと感じる場合
介護と仕事の両立を続けていると、疲労が限界に達することがあるかもしれません。
1人で抱え込みすぎてパンクする前に、外部の専門家に相談することが重要です。
50代のCさんは、毎日働きながら、1人で介護と家事をこなしていました。
しかし、疲れが溜まった結果、あるとき突然、動く気力が無くなってしまったのです。
このままでは自分が倒れてしまうと感じたCさんは、地域包括支援センターに相談します。
そして、ケアマネジャーの提案を受けながら、介護保険サービスを契約しました。
同時に、上司に現状を打ち明け、介護休業制度による長期的な休業を申請したのです。
一時的に仕事から離れることで、慌ただしい日々から解放され、精神的に安定できたのでした。
1ヶ月後に戻った職場では集中して働くことができ、介護の負担も減ったため今後も続けることができそうです。
【まとめ】親の介護を楽にして、仕事と両立しよう
この記事では、親の介護と仕事を両立するための方法を解説しました。
国が用意している介護支援制度を活用すれば、仕事を続けやすくなります。
- 長期休みが取れる「介護休業」
- 急な介護で休める「介護休暇」
- 業務時間を免除できる制度
- 介護で残業を免除できる制度
- 深夜の業務を免除できる制度
- テレワークに変更できる社内制度
- 公務員が利用できる支援制度
また、両立するためのポイントとして、介護を楽にすることも大切です。
「ラクカイゴ」のWebサイトでは、介護を楽にするアイテムを100種類以上紹介しています。
以下のトップページから、介護の悩みを選ぶだけで、介護を楽にするアイテムが見つかるのです。
\ 介護を楽にして、仕事を続ける /
支援制度や介護を楽にするアイテムを活用して、親の介護と仕事を両立させましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。