【例文あり】介護アセスメントシートの書き方のコツと記入例を解説!

この記事では以下の悩みを持つ方にオススメです。

  • アセスメントに時間がかかる
  • 何を書いたらいいのかわからない
  • 記入例を参考にアセスメントシートを作りたい

アセスメントは新規利用者の個人情報を細かく収集することが求められますが、まだ関係性が構築できていない状態で形式的に質問していくのは至難の業です。

そこで、アセスメントでの情報収集が苦手、時間がかかってしまう方向けにアセスメントシートの書き方をご紹介します。

記事の後半では、事例ごとのアセスメントシートの記入例を載せていますので、ぜひ参考にしながら作業してください。

目次

押さえておくべきアセスメントシートの書き方

アセスメントの手順は、以下の3つに分けられます。

  1. 情報収集
  2. 統合と分析
  3. 目標設定

この中の「情報収集」がアセスメントシート内に記載する内容となります。

事前に電話や書類で得た情報に合わせて、直接訪問した際に感じた視覚・嗅覚などの情報も含まれます。
利用者の全体像を把握して、求められているニーズを汲み取っていきましょう。

わかりやすいアセスメントシートとは

アセスメントシートを作成する目的は、利用者や家族から得られた情報からどんな支援が必要なのか、その背景とニーズや問題点を明確化することにあります。

そのため、以下の3つのポイントを意識して作成しましょう。

  • サービスを利用することになった背景・理由
  • 現在の心身機能の状態とこれまでの生活様式
  • 人的・物的環境による問題点

アセスメントシートの内容は、ケアプランの作成や他事業所との情報共有を行う際に重要なポイントとなります。

これら3つのポイントを、各項目にわかりやすく詳細に記載できるようにしましょう。

アセスメントシートに書く内容

アセスメントシートには、さまざまな様式がありますが、書く内容に大きな差はありません。

「なぜ利用者が介護サービスを必要になったのか?」「なにを支援する必要があるのか?」この2つの視点を頭に入れながら質問をしていきます。

例えば、脳卒中の後遺症で1人で入浴できない方であれば、

いつから身体が不自由になったのか?

どこまで出来て、どこからが出来ないのか?

手伝ってもらえる人はいるのか?1人でできる方法はないか?

金銭面を考慮しながらどのようなサービスが適するか?

このような流れを考えながらアセスメントシートを埋めていくようにしましょう。

シートに記入する内容は必要な情報ではありますが、初対面のうちは細かいところまで全てを話していただくことは難しいです。
そのため、利用者が求めている部分から身体状況・家族環境・金銭状況などを確認していくと、充実したアセスメントシートの内容が完成します。

アセスメントシート23項目の一覧とポイント

ここでは、アセスメントシートの必須項目である23項目について、記入する内容と作成のポイントをまとめました。

事業所ごとにアセスメントシートの様式は違いますが、この23項目を押さえておくことで、様式に関係なくアセスメントシート作成に活用できます。

「基本情報に関する9項目」と「課題分析に関する14項目」に分けて、詳しく解説しておりますのでご参照ください。

基本情報に関する9項目

1、基本情報:利用者と家族の連絡先や受付方法などを記入します。
→キーパーソンに限らず、利用者と関わりのある関係者の連絡先も把握できるようにしましょう。また事前に情報がわかる際はアセスメントシートに記載したものを初回対面時に確認しておくとよいでしょう。

2、これまでの生活と現在の状況:主にどのような仕事を何歳までしていたか、何歳で結婚し子供が何人いるのか、現在どのような生活をしているのか記入します。
→利用者の問題点を整理・理解するのに重要な項目です。介護が必要になる以前の情報を得ることで、今後のサービス内容に繋がります。どのような暮らしをしてきて、なにが今できなくて困っているのかを確認しましょう。

3、社会保障制度の利用状況:被保険者情報や年金受給状況などを記入します。
→介護保険制度の仕組みや年金をどのくらい受け取っているのかを把握していない利用者・家族は多くおります。わかりやすい説明を行いながら、正確な情報収集に努めましょう。

4、利用している支援や社会資源:介護保険サービスや医療保険サービスを利用している場合に記入します。
→利用者の問題点の見直しや社会との関わりにも繋がります。何も利用していない場合も多いため、合わせてサービスの紹介ができるよう準備しておきましょう。

5、日常生活自立度(障害):「寝たきり度」とも呼ばれる指標で、認定調査や主治医意見書の内容を記入します。

6、日常生活自立度(認知症):高齢者の認知症の程度を踏まえた日常生活自立度で、同じく認定調査や主治医意見書の内容を記入します。

7、主訴・意向:利用者とその家族がどのように生活したいと思っているのか、聴取した言葉をそのまま記入します。
→意図を汲み取って端的にまとめるのではなく、話し言葉をそのまま記録に残しておくことで利用者の意向が伝わりやすくなります。

8、認定情報:認定結果や審査会の意見などを記入します。

9、今回のアセスメントの理由:申し込み依頼をした家族または本人のサービスが必要となった経緯を記入します。
→主訴・意向と同様になぜ支援が必要なのか、どのようなサービスを望んでいるのかに繋がります。できるだけ詳しい情報収集を心がけましょう。

課題分析に関する14項目

10、健康状態:利用者の心身の状況や受診状況、服薬情報に加えて利用者の病状理解について記入します。
→この項目は情報量が多く、専門用語もあるためまとめるのに時間がかかる場合があります。受診歴や治療経過がわかるものやお薬手帳はコピーをとらせてもらうとスムーズです。

11、ADL:日常生活に必要な動作の介助量などを記入します。
→何ができなくて困っているのか細かいプロセスでの把握が必要となります。質問攻めにならないよう対面時の様子から聞く内容を絞れるといいでしょう。

12、IADL:家事動作、薬や金銭管理、交通機関の利用などの項目を記入します。
→以前はできていたことも出来ると伝えられる可能性もあります。利用者からの聴取の際には、現在も行えているのか確認しましょう。

13、認知機能や判断力:認知機能の程度や判断能力を記入します。
→診断を受けている場合は現在の症状や行動・心理状態などを詳しく聴取するようにしましょう。時間帯や環境によって症状が変わる場合もあることを念頭に入れ、詳しく聴取していきましょう。

14、コミュニケーションにおける理解と表出:意思疎通における視覚・聴覚能力の程度や、コミュニケーションツールなどを記入します。
→難聴があり補聴器を使用している場合や、視力の低下から書面の説明には口頭で行う必要がある場合など、今後の対話を進めていく上で必要な情報となります。他人に遠慮し表出が少ないと感じる場合なども記載するようにしましょう。

15、生活リズム:1日の過ごし方や日常的に活動している内容などを記入します。
→朝は何時に起きて、日中は何を過ごして、夜何時に寝るのかを確認すると1日の流れが見えてきます。何曜日に家族が訪問するなど1週間のスケジュールも可能な範囲で聴取していきましょう。

16、排泄:排泄の場所や方法、排泄頻度や失禁の有無などを記入します。
→利用者の自尊心を傷つけないよう聴取する必要がある項目です。1人で排泄を行っている場合は家族も排泄状況を知らない場合もありますので、可能であれば利用者本人に確認するようにしましょう。

17、清潔:入浴や整容、皮膚・爪の状況を記入します。
→居住環境の衛生面に関する項目なので、寝具や衣類などの汚れや交換頻度、においなども聴取します。対面にて感じた内容も含みます。

18、口腔内:口腔内の汚れや口臭、義歯の有無、口腔ケアの状況を記入します。
→ここでは指導ではなく現状を把握することが必要です。歯や義歯の管理を利用者本人が行っているのか、定期的に歯科受診を行っているのかも確認するようにしましょう。

19、食事摂取:食形態や食事回数、嚥下機能の状態などを記入します。
→病状による食事制限や栄養状態に注意が必要な場合があります。食事の準備は誰が行うのか、適正な食事量や水分量が保たれているのか確認しましょう。

20、社会との関わり:家庭内での役割や地域参加状況、参加している活動や仕事について記入します。
→外出頻度や近所の交友関係などを聴取します。関わりがない方であれば、生きがいを喪失したり認知機能が低下したりする可能性があります。利用者本人がかかわりを望んでいるのかどうかも重要なポイントになります。

21、家族等の状況:家族との関係性や支援に対する参加状況について記入します。
→利用者家族の現在の負担感や介護に参加することに対してどのように感じているのか、可能であれば家族全員の意見を聴取します。利用者が同席していることで家族の本心が聞き取りにくい場合は、電話等でも構いませんので後日聴取するようにしましょう。

22、居住環境:生活動線や危険個所の有無、整理整頓の状況などを記入します。
→トイレまでの動線で日中は問題ないが、夜間は電気の場所が分かりづらいなど転倒のリスクとなりそうな箇所などを重点的に聴取していきます。トイレまでの距離や玄関での靴の着脱なども確認しておきましょう。

23、その他留意すべき事項・状況:虐待や経済的理由で支援が困難となりそうな場合や、どのような看取りを望んでいるかなど記入します。
→利用者本人と家族の意向が相違している場合や、家族間での関係性など今後支援を行っていくうえで注意したほうがいい内容を確認しておきましょう。トラブルを防ぐためにも初回にきちんと確認を取っておくことが大切です。

【記入例】アセスメントシートの事例集

アセスメントシートは十人十色で、同じ内容になることはありません。
そのため、どのようにアセスメントシートを書けばいいのか悩むこともあるかと思います。

ここからは、アセスメントシートの記入例を場面ごとで分けて紹介します。
利用者の状態に近い例を参考にしてください。

【施設】認知症でも役割をもった生活を目指すアセスメントシート

施設で最も利用されている様式「包括的自立支援プログラム」を例にご説明します。

  • 90歳女性。認知症により自発的な行動が乏しく施設内車椅子で生活される。
  • 簡単なコミュニケーションは可能だが、指示理解に乏しく日によって介助量にムラがある。
  • ADLは全介助で、食事など理解される際には自身にて摂取される様子もあり。
  • 症状が悪化する以前は長年専業主婦として家事全般を行い、趣味で華道やカラオケ教室に通っていた。
  • 家族からは1日中座ったままの生活にならないよう、刺激を入れてほしいとの要望あり。
  • 今後の方針は、施設内での役割獲得と声かけなどによる介助量の軽減。
アセスメントのポイント
  • 生活史に着目:本人からの聴取が難しい場合でも、家族などからどのような生活をしていたか聴取することで、支援内容のヒントを得られる可能性があります。
  • 本人の意思決定能力を尊重:認知症の場合、支援を開始するにあたって本人に了承が得られにくい場合もあります。本人が嫌がるような内容にならないよう慎重に検討していく必要があります。
  • スタッフ・家族の協力体制:施設入所中であってもすべてをスタッフが行わなければならないということはありません。どこまで家族に協力を得られるのか確認が必要になります。
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【在宅】がんの病状コントロールが必要なアセスメントシート

在宅で最も利用されている様式「居宅サービス計画ガイドライン」を例にご説明します。

  • 85歳男性。大腸がんに対する術後より徐々に体力低下、その後再発したため在宅療養中。
  • 利用者本人はサービスの利用は望んでおらず、自身で生活できていると感じている。
  • 主に同居の長男が介護を行うが、ストレスが溜まると本人に対しきつい言動がみられる。
  • 別居の長女は献身的に本人宅へ通い、家事や通院をサポートしている。
  • 認知機能の低下も見られ、トイレまでの歩行が困難で失禁することがあり家族の負担となっている。
  • 下肢機能の低下から外出機会はほぼなく、屋内移動も困難になりつつある。
  • トイレまでの動線に段差があり、手すりや歩行器などの導入はされていない。
  • 今後の方向性としては、トイレまでの歩行機能を再獲得し在宅生活を維持していきたい。
アセスメントのポイント
  • 病状の理解:病状が進行し心身機能の変化や介護量の変化がみられることがあるため、現状何ができて何ができないのかを把握する必要があります。
  • 本人と家族の意向の相違:本人が支援を望まない理由、あるいは家族が支援を望む理由をアセスメントの中で詳しく聴取する必要があります。
  • 居住環境や家族の協力:在宅では環境を整えることで自立できる場合や、家族の協力を促すことにより改善される問題もあります。すべてサービスの導入に繋げるのではなく、利用者や家族にとっての最善とは何かを考える必要があります。
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【訪問介護】脳梗塞後遺症に対する入浴サービス導入のアセスメント一例

  • 75歳男性。脱衣所にて脳梗塞発症、リハビリ病院での治療を終え自宅退院予定。
  • 40代で離婚されており、現在独居。
  • 脳梗塞の後遺症として右手足の麻痺があるが、入院中はシャワー浴で自立。
  • 退院後は自宅の浴槽にて入浴したいとの希望があるが、浴槽が深くまたぎ動作や浴槽からの立ち上がりに介助が必要との情報あり。
  • 以前脱衣所にて倒れた経緯があり、再発予防のための健康管理が必要。
  • 本人は自由な生活がしたいと、血圧や服薬管理に対するコンプライアンス不良。
  • 今後、自宅での入浴サービスの導入と再発予防を行っていきたい。
アセスメントのポイント
  • 正確な心身機能の評価:どこまでが出来て何に介助が必要なのか、ADLの中でも細かく聴取する必要があります。
  • リスク管理:病院内では自立できていたとしても、在宅では環境が違い支援が必要になる可能性もあります。在宅環境の評価も実際に動いてもらい確認できると良いでしょう。
  • 再発予防ケア:脳血管障害の多くは生活習慣病が原因となっている場合が多いため、食事や運動などの生活リズムを確認することも必要になります。

【デイサービス】大腿骨頚部骨折後他者との交流を目指すアセスメント一例

  • 80歳女性。買い物中に転倒し大腿骨頸部骨折を受傷、術後約2か月で自宅退院可能となった。
  • 自宅内の家事動作を含め自立できているが、転倒への恐怖から外出が出来なくなっている。
  • 受傷前は1人でスーパーまで15分歩いて買い物に行き、友人との食事や趣味である着物教室にも通っていた。
  • 同居中の夫は、このまま体が弱ってしまうのではないか、認知症になってしまうのではないかと心配している。
  • 今後の方針としては、外出機会の獲得としてデイサービスの利用を検討中。
アセスメントのポイント
  • 社会参加の回復:受傷前の生活が目標となることが多いため、本人の趣味や外出の頻度などを聴取する必要があります。
  • 目標の再設定:入院中の目標は自宅で安全に生活できればいいと思っていても、退院後しばらくすると目標が変わっていることがあります。現在の本人・家族の意向を改めて聴取する必要があります。
  • サービス利用の抵抗感:デイサービスに通う事への抵抗を持っている方もいます。サービスの提案と共に利用者がどのように感じているかも聴取しましょう。

【特養】誤嚥性肺炎防止とベッド以外での生活を図るアセスメント一例

  • 85歳女性。パーキンソン病で嚥下機能が低下しており、誤嚥性肺炎を発症し入院。
  • 在宅介護を行っていたが自宅退院は困難との判断で、入院先から特別養護老人ホームに入所となる。
  • 本人は肺炎を繰り返していることは理解しているが、経管栄養には拒否があり経口摂取を希望されている。
  • 特に汁物は誤嚥しやすく、トロミをつけて提供。
  • 飲水時はベッドから体を起こして与えるが、体重40㎏まで減少しており車椅子に座って過ごす体力はない。
  • 主治医からは再度肺炎を起こすリスクは高く、むせがあった場合は発熱や呼吸苦がみられていないか注意をするように。また、点滴による栄養補給と無理のない経口摂取を行うようにとの指示を受ける。
  • 今後の目標は、寝たきりによって更なる嚥下機能低下を予防すること。
アセスメントのポイント
  • リスクの評価:本人の栄養状態や現在の嚥下機能から、特に気を付ける項目を聴取し情報共有を行います。
  • 支援内容:食事の提供方法、姿勢や環境調整方法など入院時となるべく同じ体制が整えられるように詳しく聴取する必要があります。
  • 医師の診断・指導内容:留意すべき兆候や連絡先等も把握し、緊急時の体制構築も確認を行います。

まとめ

この記事では、アセスメントシートの書き方と記入例を紹介しました。

アセスメントの内容は一人ひとり違いますが、書き方のポイントさえ取得できれば時間がかかることなくアセスメントシートを作成できるようになります。

具体的な例文として、以下のような項目を紹介しました。

  • 施設における認知症の方のアセスメント
  • 在宅におけるがん治療中の方のアセスメント
  • 訪問介護における脳梗塞後遺症の方のアセスメント
  • デイサービスにおける大腿骨頸部骨折後の方のアセスメント
  • 特別養護老人ホームにおける誤嚥性肺炎の方のアセスメント

それぞれの項目ごとに、今後のサービス導入に向けたアセスメントのポイントも解説しました。
ぜひこの記事を参考に、アセスメントシート内容の質向上と作業効率の向上を図ってください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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