この記事は、以下のような悩みを持つ方にオススメです。
- 事例検討会って、どのように進めればスムーズかな?
- 事例検討シートの書き方を、記入例と一緒に教えて!
- 事例検討会でそのまま使える事例集が欲しい
事例検討会をする際は、スムーズな進め方や検討すべきポイントを知っておくだけでも、得られる学びが大きく変わります。
この記事では、ケアマネージャーが事例検討を行う際の進め方や検討シートへの記入例を詳しく解説します。
事例検討会とは?
ケアマネが行う事例検討会とは、介護現場での具体的な事例をもとに、問題の共有と解決策の探究を行う会議です。
ケアプランの改善や利用者のQOL向上を目指し、実際の事例を参考にして議論が行われます。
つまり、単なる意見交換の場ではなく、より専門性を高めるための学びの機会です。
困難な事例や通常の対応では解決が難しい問題であっても、さまざまな視点を共有し合うことで、解決策を見つけることができます。
事例検討会の進め方
事例検討会には、複数の人が参加するため、スムーズな進行が求められます。
あらかじめ進め方をきちんと考えておくことで、全員が積極的に参加しやすい会議になるのです。
例として、90分間の事例検討を進めるときのタイムスケジュールを紹介します。
会議の冒頭で、各参加者の役割を明確にします。
全体司会、書記、ファシリテーター、参加者などの役割を確認し、全員が自分の役割に責任を持って進めることを確認するステップです。
事例を提出する人が、事例内容を簡潔かつわかりやすく説明します。
事例の背景や問題点、課題、これまでの対応などについて具体的に共有しましょう。
参加者が事例についての疑問や詳細な情報を質問する時間です。
この段階で、事例に関する全員の理解を深め、これ以降のステップで効果的な議論をするための土台をつくります。
質疑応答の後は検討するテーマを絞り込み、会議の目的を再確認します。
「どの問題に焦点を当てるか」「解決策にどのようにアプローチするか」ということを明確にするのが重要です。
参加者それぞれが、短時間で自分なりの解決策や意見を整理します。
この個人ワークは、全員が自分の意見をまとめ、次のグループディスカッションに備えるための時間です。
参加者全員が協力して議論を深め、具体的な解決策を見つけ出すことを目指します。
グループでは、参加者全員の意見を引き出すようにファシリテーターがリードし、テーマに沿った建設的な議論を促します。
多様な視点から問題にアプローチし、参加者全員で協力して解決策をまとめる重要なプロセスです。
ファシリテーターが、議論の内容や提案された解決策を簡潔にまとめます。
ここで、発見した解決策をまとめ、次回に生かせる学びを全員で共有する大切な時間です。
最後に、参加者が事例検討会についての感想を述べる振り返りを行いましょう。
個々人の学びや気づきを共有することで、参加者全員の意見を聞くことができ、次回の検討会をさらに良くすることにつながります。
事例検討シートの書き方
事例検討シートは、事例検討会における議論を整理し、具体的な検討内容を記録するためのシートです。
記入する際、まずは事例となる利用者の状態や家族の状況などを細かく書きます。
また、これまでの既往歴や対応してきた内容なども添えると、さらに深い議論が可能です。
そして、最も重要な点として、今回の検討会で話すべき相談ポイントを明確に記入しましょう。
また、議論が終わった後には、会議内で話し合った内容や、参加者の感想なども取りまとめるのも有効です。
このような内容を記入することで、事例検討会の内容をスムーズに実践に移しやすくなります。
事例検討表への記入例
ここでは、実際に事例検討シートへ記入した状態を例としてご紹介します。
なお、この事例検討シートは、この記事の付録としてテンプレートとしてお配りしているものです。
この事例検討シートの例では、在宅介護で老老介護をしている高齢者世帯の課題を挙げています。
利用者の状態と介護者の負担がどのように関連しているかを具体的に整理して、各項目が記入されている点がポイントです。
ケアマネが検討する事例集を3つ紹介!
ここから、事例検討会でそのまま使える事例集として、3つの例題を紹介します。
- 認知症を介護する事例の検討例
- 地域包括支援センターの困難事例
- 訪問看護のやり方に関する事例検討
それぞれの事例について、検討すべきポイントも合わせて解説しています。
どの事例も、実際の現場で応用しやすいため、ぜひ参考にしてみてください。
認知症を介護する事例の検討例
1つ目の事例として、認知症を介護する場合の検討内容を紹介します。
認知症を介護する事例は、複雑な課題が絡んでおり、ケアマネジャーの知識や経験が試される場面です。
特に、在宅介護の限界と家族の負担をテーマに、支援体制の見直しや多職種連携の重要性を考えるきっかけになります。
この事例を検討することで、家族が無理なく介護を続けられるような支援体制の構築に焦点を当てることが可能です。
「どのような支援を受ければ、家族が介護を続けやすいか」についての議論は、他のケースにも応用できます。
地域包括支援センターでの困難事例
次に2つ目の事例として、地域包括支援センターでの困難事例を紹介します。
ここで紹介するのは、ケアマネージャーが中心となって、他職種の連携を行う必要がある事例です。
この事例の最大の特徴は、夫婦ともに医療的ケアと介護が必要であり、さらに経済的問題も絡んだ課題を抱えている点になります。
こうした複雑なケースで、多職種の連携を通じて、効果的な支援体制を構築することが重要です。
「どの職種がどの段階でどのような支援を提供するべきか」という役割分担を検討できると良いでしょう。
また、家計が圧迫されており、利用できる福祉サービスや医療サービスの選択が難しい点も特徴です。
そのため、利用者の状態に合わせて最適なケアプランを作成するための優先順位付けを学ぶことができます。
「家計をなるべく圧迫せず、利用者に最も合った介護サービスを選ぶ」考え方は、とても応用範囲が広いです。
訪問看護のやり方に関する事例検討
最後に3つ目の事例として、訪問看護のケア内容に不満を持っている事例を紹介します。
訪問看護は、医療と介護が交差するため、在宅介護における非常に重要なテーマです。
この事例は、訪問看護に対して、家族がどのような役割を求めているかを考える材料になります。
訪問看護では、さまざまな対応ができるからこそ利用者や家族とのコミュニケーションが重要です。
検討すべきポイントとして「訪問看護と家族の役割分担をどのように設定するか」があります。
利用者の状態に応じて「どの段階では訪問看護で〇〇な内容を提供する」という場合分けを考えておけるとベストです。
普段は、目の前の利用者に対して最適な支援をすることを意識しているため、全体像を見るいい機会になるかもしれません。
【付録】事例検討シートの様式テンプレート
最後に、付録として、事例検討シートの様式テンプレートをお配りします。
以下のボタンからPDFでダウンロードすることができますので、お気軽にご活用ください。
基本的な項目を記載していますが、項目は自由に増やしたり減らしたりして問題ありません。
また、「テンプレート自体を〇〇のように変更してほしい」という要望がありましたら、ラクカイゴのX(旧:Twitter)アカウントへご連絡ください。
【まとめ】介護の匿名掲示板での相談事例を参考に!
この記事では、ケアマネージャーが事例検討会を行う際の、進め方やシートへの記入方法を解説しました。
事例検討会では、具体的な事例をもとにして、問題の共有と解決策の探究を行います。
タイムスケジュールを用意し、各ステップの目的を理解しながら進められると理想的です。
実際にそのまま使える事例として、以下3つの検討内容を紹介しました。
- 認知症を介護する事例の検討例
- 地域包括支援センターの困難事例
- 訪問看護のやり方に関する事例検討
最後までご覧いただき、ありがとうございました。