【テンプレート】介護職向けに申し送りのコツや書き方を例文で紹介!

申し送りは「簡潔に」「要点をまとめてわかりやすく」と言われますが、状態が変化しやすい高齢者だと伝えるのが難しいです。

そのため「申し送りってどう書けば良いのかわからない!」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?

また、日々の介護業務では予想外のトラブルも付きもので、何かが起こった日は申し送りだけでぐったりしてしまう人もいるかもしれません。

この記事では、少しでも申し送り業務の負担を減らすために、申し送りのコツとすぐに使えるテンプレートを紹介していきます!

目次

良い申し送りの3つのポイント

良い申し送りの第1条件は、相手が知りたい情報をわかりやすく伝えられていることです。

いくら自分が伝えたい内容を上手く言えていたとしても、相手がわかりにくいと感じるなら、良い申し送りとは言えません。
相手が変われば知りたい情報も変わるため、相手に合わせて内容を変える必要があります。

2つ目のポイントとして、申し送りの内容を全て覚えられる人はほとんどいないので、優先順位をつけることが大切です。
時系列も大切ですが、優先順位の高い重要事項は1番最初に伝えるようにしましょう。

3つ目に、申し送りで気をつけなければならないのは事実と自分の考えをしっかり分けて話すことです。
事実と考えを混ぜて話してしまい、申し送りがわかりにくいと思われているケースが多くあります。

起きた事実は最初に、見ていない憶測や自分の考えを最後に話すだけでも申し送りがわかりやすくなるでしょう。

口頭でわかりやすく伝えるコツ

口頭でわかりやすく伝えるコツは、以下の3つです。

  • 口頭で伝えるメリットとデメリットを理解する
  • 情報を絞って早口になり過ぎないようにする
  • 自分の意見や要望を交えるときは一言添える

口頭による申し送りのメリットとしては、迅速かつ簡単で、文章で表現しにくい自分の気持ちが表現できたり相手の理解度をその場で確認ができたりすることにあります。

一方でデメリットは、伝言ゲームのように、人を介すと少しずつ内容が変化していってしまうことです。
勤務シフトの関係ですぐに伝えられない人がいる場合などには書面で残す方が良いでしょう。

そして、相手に理解してもらいやすいよう早口にならないこと、クッション言葉のような一言を添えることが意識できるとよりわかりやすい申し送りになります。

ノートでわかりやすく伝えるコツ

申し送りノートでわかりやすく伝えるコツは、以下の3つです。

  • 書面で伝えるメリットとデメリットを理解する
  • 箇条書きや記号を使用する
  • 時系列ではなく要点を抑えて書く

申し送りノートを使用しているところは多いと思いますが、ノートにもメリットとデメリットがあります。

メリットは時間をおいても確認しやすく、視覚からも情報が入ることで覚えやすくなることです。
文章ではなく要点のみを箇条書きにしたり、記号や色などを使用したり重要なことを強調することもできます。

デメリットは申し送りノートを作成するために口頭よりも時間がかかってしまうことです。
ノートやアプリなど媒体が1つの場合には、前の人が書き終わるのを待つ必要があるかもしれません。

これらのデメリットを解消するためにも申し送りをテンプレート化して、業務効率を上げる必要があります。

【無料】すぐに使える申し送りテンプレート5選

申し送りテンプレートを作るメリットとしては、申し送りにかかる時間を節約できることです。

伝える内容を当てはめるだけでいいので、伝えるべき必要な情報の抜け漏れを防ぐためにも活用できます。
施設で共通した申し送りテンプレートがあれば、担当者が違っても一貫性が出るでしょう。

しかし、一から自分で作るのは時間がかかるから難しいと考えている方も多いと思います。

ここからは、すぐに使える申し送りのテンプレートを5つ紹介します。

  1. 利用者の体調変化や対応方法
  2. 利用者・家族の要望
  3. トラブルがあったときの様子
  4. 薬や食事などの伝達や変更事項
  5. 自分の意見や相談内容

実用性を第一に考え、場面別に申し送りのテンプレートを作成しました。
書き方を覚えて、申し送りにかかる時間を短縮させましょう。

1、利用者の体調変化や対応方法

訪問時の様子

利用者様の居室を訪問した際の様子や利用者様の訴えには重要な情報がある場合があります。
熱がある、怒りっぽいなど普段と違う様子や精神状態を見逃さないように申し送りましょう。

(時間)時ごろ、(利用者名)様の居室を訪問すると、「(本人の訴え)」がありました。(本人の様子)だったので、(対応内容)しました。その後、(状態の変化)ようなので経過観察をお願いします。

体調の悪化

体調悪化時にはまず数値や量、色など正確な情報を伝える必要があります。「その後どのように対応したか」「どのような対応を引き継ぎたいか」を記入しましょう。
情報量が多くなりやすいため、最も重要な項目から伝えるのがポイントです。

(利用者名)様ですが、(時間)時のバイタル測定で(異常なバイタルや症状)がありました。(主任や看護師など)に報告し、(対応内容)しました。(考えられる病状)の可能性も考えられるので、(症状)に注意して様子を見てください。

2、利用者様・ご家族からの要望

利用者様からの要望

利用者様からのお願いごとや、サービスに対してのご指摘を受けることもあるでしょう。
トラブルの防止や、今後のサービスの質を高めるためにもスタッフ間で共有できるように話し言葉を交えて記入します。

(利用者名)様から「(要望)してほしい」との訴えがありました。わたしの考えとしては、(現状の評価や対応など)なので(自分の意見)した方がいいと思います。ご検討をお願いいたします。

ご家族からの要望

大切な家族だからこそ、「もっとこうしてほしい」とご意見をいただくことがあるかもしれません。
申し送りが漏れてしまうと、「対応してくれない」と不満に思われてしまいかねません。訴えに対してどのような行動を起こしたかまで記入しましょう。

(利用者名)様のご家族から「(要望)してほしい」との訴えがありました。所属長に確認したところ、(許可や指示内容)とのことです。本日より対応変更がありますのでよろしくお願いします。

3、トラブルがあったときの様子

利用者様とスタッフ間のトラブル

万が一トラブルが起こってしまった場合には、いつ、誰が、なぜそうなったのかを正確に伝えます。
自分の意見を混ぜ込まないよう起きた出来事と、可能であればスタッフに確認した内容も記入すると良いでしょう。

◯月◯日◯時ごろ、(利用者名)様から「(スタッフ)さんに(トラブル内容)だった」とお話がありました。確認したところ、(事実内容)であったようなので、今後(対応内容)するようにお願いします。

利用者様同士のトラブル

食事場面やレクレーション中に利用者様同士のトラブルが発生することもあります。
一部始終を全て見ていなかったとしても、自分が発見した状態とお互いの意見を要約した内容を分けて記入した方がわかりやすくなります。

(〇〇をしていた)ときに(利用者名)様と(利用者名)様が口論になっているところを発見しました。話を聞くと、(利用者名)様が「(内容)なんてやめろ」などと文句を言ったことが原因のようです。今後は(対策)などの対応で様子を見てみます。

4、薬や食事などの伝達や変更事項

服薬内容などの指示変更

服薬は受診の翌日から変更になる場合もあれば、現在処方済みの薬が飲み切ってから変更になる場合などがあります。
重大な事故につながる危険もありますので、いつから、何に変わるのかを正確に記入しましょう。

本日の受診にて、(利用者名)様の(状態)から投薬内容が変更になりました。今まで使用していた(薬名)は本日の(食後などのタイミング)から(新しい薬名)に変えてください。次回診察の(期間)まではこの内容でよろしくお願いします。

食形態の変更

日頃の様子を知らないスタッフがいる場合は、食事介助が必要なのか、ムセずに食べられているかまで合わせて伝えるようにします。
また、変更された後の変化を確認することは大事です。「どう対応してほしいか」までを、申し送りできちんと伝えられるようにしましょう。

(利用者名)様のお食事ですが、(状態)なため、(現状)から(新しい食形態)へ変更となります。(利用者名)様への声掛けと食後摂取量の記載をよろしくお願いします。

5、自分の意見や相談内容

自分の意見を言うとき

日頃から利用者様のお世話をしていて気づいたことなどあれば、提案してみましょう。
寒がりなので窓側の席を好むのではないかなど、どんな些細なことでも構いません。他の介護場面の申し送りに合わせて使用してください。

私の意見ですが、(利用者名)様は(現状の様子)なので(提案内容)にしてみようと思っています。

相談するとき

認知症の方など自分の意見が言えない利用者様の場合は、スタッフの憶測に頼らざるを得ません。
他スタッフからの視点もいただきながら最適なケアを考えていきましょう。そのためには、自分の考えを述べた上で、お伺いを立てるような申し送りであれば押し付けがましくなりません。

(利用者名)様が(現状の様子)なのは(自分の考え)な可能性があります。(提案内容)してみてはいかがでしょうか?ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

申し送りテンプレートの作り方

ここまで5つの申し送りテンプレートを紹介してきました。
ここからは、あなたに合った申し送りテンプレートの作り方をご紹介します。

テンプレートを作る手順
STEP

頻度の高い申し送り事項は何かを考える

STEP

申し送りすべき項目を整理する

STEP

相手に伝えるべきポイントを定型文にする

まずは普段の業務を見直し、時間がかかっている申し送りはどんな場面なのかを考えます。
例えば、新規利用者の入所時やいつも担当している人以外に申し送りをするときなどが挙げられるでしょう。

次は、何を申し送るのか必要な項目を整理します。
新規利用者を例に取ると、氏名、年齢、性別、疾患名、既往歴、生活自立度、服薬状況、家族構成、ケア内容、注意事項などです。

多ければ多いほど良いというわけでもありませんので、できれば10項目以内に絞るようにしましょう。

最後に、「なぜ必要な項目に選んだのか」という背景をもとに、伝えるべきポイントを定型文へ変換する作業です。

伝える相手に情報共有のみを求めるのか、具体的な行動を求めるのかによっても文章は変わってきます。

例えば、認知症で内服薬の管理が難しい方に対しては、以下のような定型文を作成できるでしょう。

「お薬を飲んだかどうかを忘れてしまうので、食後に内服薬の空袋があるか確認をお願いします。」

【苦手な人へ】申し送りの良い例文と悪い例文

意外にも、申し送りの技術を高める機会は多くありません。

この章では「あなたの申し送りは、相手に伝わりやすいか?」を、例文で学ぶことができます。

以下5つの場面別に例文を紹介します。

  1. 食事介助
  2. 排泄介助
  3. 入浴介助
  4. 体調変化
  5. 転倒事故

申し送りの良い例と悪い例を参考にして、あなたの申し送りを見直してみましょう。

1、「食事介助場面」での申し送り

【悪い例文】
A様ですが昼食中にトイレに行きたかったのか急に歩き出していました。リスクが高いので見守りつくとか昼食前にトイレに寄るなどした方がいいと思います。私はその時B様の歯磨きを手伝っていました。

【良い例文】
B様の歯磨き介助中にA様が一人で歩き出していました。以前にも転倒した経緯があり転倒リスクが高いので立ち上がった際には見守り対応お願いします。また、私の考えですが昼食前にトイレに寄るよう促してみてはいかがでしょうか。

良い例では、話す順序や自分の考えを混ぜないように整理されています。「どのような対応が必要なのか」をわかりやすく書いているのがポイントです。

2、「排泄介助場面」での申し送り

【悪い例文】
今夜A様の様子を見てください。明日医師の診察を受けるようです。さっきトイレに行ったら血便があったんです。

【良い例文】
16時ごろ、A様のトイレ介助に入ると血便が中等量あり、トイレットペーパーにも少量鮮血が付着していました。看護師に報告し、バイタル異常は見られませんでしたが、念のため明日医師の診察を受けることになっています。腹痛や貧血症状が出る可能性がありますので、経過観察をお願いします。

良い例では、便の量や出血量がどの程度かが具体的に書かれています。そして、自分の対応と今後の対応が明確になっているため動き方を共有しやすいです。

3、「入浴介助場面」での申し送り

【悪い例文】
今日はA様に火曜にお風呂入ったことを伝えたら大丈夫だったけれど、なかなかお風呂に入ってもらえなくて大変でした。入浴後は普段通りでスポーツドリンクを飲まれていました。

【良い例文】
A様を浴室に促すと「今日は入りたくない」と拒否されました。理由を伺うと、昨日も入ったと記憶違いされており、「この前のお風呂は火曜日でしたよ」と曜日でお伝えすると、ご納得され15分ほど入浴されました。入浴後は150ccほどのスポーツドリンクを飲まれています。

良い例では、会話のやり取りも入れることでその時の雰囲気が理解しやすいですね。入浴時間や飲水量など具体的な数値があるとより伝わりやすくなります。

4、「体調変化場面」での申し送り

【悪い例文】
A様の朝のバイタルは血圧126/71mmHg、脈拍82bpm、体温37.8℃ありました。呼吸も問題ありません。寒がっていました。室温は普段通りで変更してません。朝食も召し上がっていました。食後にお薬を飲んでもらいました。今はまた横になって休んでいます。よろしくお願いします。

【良い例文】
朝のバイタルチェックでA様の居室に伺うと、布団を被り「寒い」との訴えがあり、検温すると37.8℃ありました。他のバイタルは問題ありません。室温が27℃であることを確認し、クーリングしてから朝食後にカロナールを内服しています。現在はベッドで休まれていますが、10時ごろに再度検温をお願いします。

良い例では、情報量を多くするのではなく、必要な情報を簡潔に伝えている点がポイントです。薬名や次の対応などがわかりやすく書かれています。

5、「転倒事故場面」での申し送り

【悪い例文】
A様ですが夜間に転倒されていました。背中を痛がるので見てみたら傷になってたのでガーゼで処置しました。家族に連絡して受診をお願いします。

【良い例文】
午前4時ごろ「おーい」という声が聞こえたためA様のお部屋に伺うと、ベッド脇で尻もちをつくようにして後方へ転倒していました。意識はしっかりしていましたがパッド内に失禁しており、背骨に沿って10cmほど擦り傷がありました。スタッフのBさんと一緒にベッドへ戻してバイタルに異常がないことを確認しました。擦り傷に対して軟膏とガーゼ処置を行いましたが痛みが強いようですので、家族に連絡して本日中に受診するようお願いします。

良い例として、転倒事故などが起きた際は多少長くなってでもその時の様子や対応方法などを詳細に申し送る方が適切です。

【Q&A】よくある質問

特に変化がなかった時の申し送りはどうしたらいいでしょうか?

バイタルなど変化がなかった場合は長々と話す必要はなく、「特に変わりありません」と伝えます。
その上で、話題の中で気になったことなど重要ではないけれど伝えておきたいことなどを申し送りできれば良いと思います。

申し送りで突っ込まれて聞かれると対応できません。私は向いていないのでしょうか?

申し送りにおいて向いてないということはありません。
「いつ、どこで、何があった、その後どうしたか」を伝えられるように意識してみましょう。

申し送りで突っ込まれた時はやってしまったと落ち込む必要はありません。
相手にとって突っ込んだ内容が必要だと思う内容であったということなので、次回以降はその内容も押さえておけるといいでしょう。

また、つなぎ言葉と言われる「えーと」「あのー」を極力使わないようにすることも大切です。

まとめ

この記事では、介護における申し送りのテンプレートと例文を紹介しました。

申し送りのポイントは、相手にわかりやすく伝えるられるかどうかです。

ある程度パターン化されたテンプレートを使用することで、申し送りにかかる業務負担を減らして必要な情報を漏らすことなく伝えることができるようになるでしょう。

この記事では、すぐに使えるテンプレートを場面別に紹介しました。

  1. 利用者の体調変化や対応方法
  2. 利用者・家族の要望
  3. トラブルがあったときの様子
  4. 薬や食事などの伝達や変更事項
  5. 自分の意見や相談内容

テンプレートや例文を参考にして、わかりやすいと思われる申し送りを身につけましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

以下の記事では、介護記録の書き方について、テンプレートを紹介していますので、よければ合わせてご覧ください。

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