【事例あり】介護現場でのコミュニケーション技術を高める方法を紹介

「介護現場でのコミュニケーション技術を高めたい」と向上心のある方は、とても素敵ですよね。

介護におけるコミュニケーションでは、非言語コミュニケーションや傾聴する姿勢がとても重要です。

この記事では、介護現場で役立つコミュニケーション技術について、事例をもとに解説します。
傾聴の意味から具体的な実践方法まで分かりやすく解説しますので、ぜひご覧ください。

目次

介護でのコミュニケーション技術の重要性

介護現場において、上手くコミュニケーションを取ることは、利用者との信頼関係構築に効果的です。

特に、高齢者や認知症の利用者とのコミュニケーションには、技術が必要になります。
温かみのある声かけや寄り添う姿勢を通じて、言葉以外の面で気持ちを表すのが大切です。

利用者が安心感を持って介護を受けられると、表情や発言にも変化が見られることが少なくありません。
これにより、介護職員自身も仕事へのやりがいを感じられ、ケアの質を向上することができます。

また、適切なコミュニケーションは、利用者の要望や不安を早期にキャッチできるため、トラブルの防止にも役立つでしょう。

つまり、コミュニケーション技術は、利用者と介護者が良好な関係を築くために重要なのです。

コミュニケーションが高齢者に与える効果

コミュニケーションは、高齢者にとって心理的・身体的に良い影響を与える効果があります。

高齢者は、家庭環境や健康状態によっては、人とほとんど話さないことも珍しくありません。
しかし、コミュニケーションを取ることは、身体機能や認知機能の向上に繋がります。

また、コミュニケーションによって安心感を得た高齢者は、他者と関わる意欲が高まるでしょう。
すると、日々のストレスが和らぎ、孤立感や不安感を軽減する効果が期待できます。

そうして最終的には、介護者にとっても介護がスムーズに行えるというメリットが生まれるのです。

非言語コミュニケーションで寄り添う

高齢者とのコミュニケーションでは、「非言語コミュニケーション」が特に重要になります。

非言語コミュニケーションとは、表情やジェスチャー、アイコンタクトといった言葉を用いないコミュニケーションのことです。

たとえば、認知症のある高齢者にとって、会話でのコミュニケーションは難しい場合があります。
そんなときも、目を合わせて親身に話を聞くことで、「この人は安心だ」と感じてもらえるのです。

非言語コミュニケーションの例としては、以下のようなものがあります。

  • 穏やかな表情で相手の目を見つめる
  • 話を聞く際にうなずいて応える
  • 肩や手にやさしく触れる

これらの動作は、言葉だけでは伝わりにくい温かさを伝え、より信頼感を持たせるのに有効です。

このように、非言語コミュニケーションを活用すると、自然な形で寄り添うことができます。

介護のコミュニケーションで役立つ「傾聴」とは?

この章では、介護現場で役立つ「傾聴」というコミュニケーション技術について紹介します。

傾聴とは、単に話を聞くだけでなく、利用者の感情に共感しながら寄り添った姿勢で話を聴くことです。

なぜ傾聴が重要かと言うと、利用者が安心して気持ちや考えを表現できるようにするためです。

認知症の高齢者は、思うように話せないことに不安や焦りを感じていることが少なくありません。
そのため傾聴の姿勢を示すことで、高齢者は「きちんと聞いてくれている」と感じ、安心して話し続けられるのです。

また、傾聴を普段から心がけていると、利用者の微妙な態度の変化に気づくようになります。
そうした少しの違いから、潜在的なニーズを汲み取れるようになるとさらに信頼感は高まるでしょう。

受容・共感・傾聴の違いについて

傾聴に似た言葉に、受容・共感という言葉がありますので、それぞれの違いを解説します。

まず、受容とは、利用者の感情や意見を否定せず、そのまま受け入れることです。
たとえば、利用者がどんなに現実と異なる話をしても、頭ごなしに否定するのではなく「あなたの感じ方を尊重する」という態度を指します。

次に、共感は、利用者の感情に寄り添って「あなたの気持ちを理解しようと努める」と示すことです。
表面的に同意するだけではなく、利用者の立場に立って気持ちを共有するイメージだと言えます。

傾聴が、受容・共感に比べて異なるのは、聴いていることを積極的に伝えるという点です。
視線を合わせたり、大きく頷いたりするなど「あなたの話に集中している」という姿勢を示すのが特徴になります。

それぞれニュアンスが違うため、1つずつ意識して着実に習得していくようにしましょう。

傾聴の使い方について例文を用いて解説

傾聴について、概念を理解できたところで、実際の使い方を例を用いて解説します。

たとえば、利用者が「最近、眠れないの」と話し始めたとしましょう。

このとき「では、機能訓練の運動時間を増やしましょう」と返しては傾聴になりません。

傾聴するなら、「眠れないのですね、どんなときに眠れないのでしょうか?」と質問します。
そうすることで、まずは利用者が安心して話しやすい雰囲気をつくることが大切です。

しかし、利用者はなかなか理由を話してくれないので、一緒にベッドに腰をかけ、視線を合わせてみます。
このように傾聴を続けて、利用者が安心した結果、「夜中、オムツに溜まった尿が気持ち悪い」ことが本当の原因だと話してくれるのです。

このように、傾聴を意識することで利用者の本音を引き出すことができ、ニーズを満たすケアが可能になるのです。

介護現場の会話でそのまま使える質問を紹介

ここでは、傾聴を意識する際に、介護現場でそのまま使える質問を3つご紹介します。

  • 朝の挨拶をするとき
    →「今日はどんな気分ですか?」と笑顔で話しかける

オープンな質問を使うと、回答に不正解がないため利用者は自由に話しやすいです。

  • 気持ちを知りたいとき
    →「どんなことがあったのですか?」と親身な姿勢で聴く

具体的なエピソードを話してもらうことで、利用者の気持ちをより深く理解できます。

  • 雑談で関係を構築したいとき
    →「最近、楽しみにしていることはありますか?」と興味を持ちながら質問する

会話が膨らみやすく、利用者が「自分のことを理解してもらえている」と感じる質問です。

利用者との信頼関係を構築するという意識を持って、寄り添う姿勢で質問するとさらに効果的です。

利用者とのコミュニケーションの成功事例

ここからは、介護現場でコミュニケーション技術をうまく活用した事例を3つ紹介します。

  • 認知症の利用者とスムーズに意思疎通できた事例
  • 日常会話で高齢者を笑顔にすることができた事例
  • 寄り添う姿勢で、不穏をうまく対処できた事例

エピソード形式で、それぞれの成功事例を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

認知症の利用者とスムーズに意思疎通できた事例

ある介護現場では、認知症の利用者が何かを訴えかけるように話しますが、その内容が曖昧で、何を伝えたいのかが掴めない状況が続いていました。

しかし、職員は切り捨てることなく、利用者が話した内容を繰り返して共感を示したのでした。
結局、話の内容は分からなかったものの、話を聞いてもらった利用者は安心した様子になりました。

職員との信頼が徐々に深まると、質問の頻度が減り、利用者は「ここにいると安心する」と話すまでになったのです。
そうして、職員が寄り添ってくれることが伝わり、安心感が生まれたため、日々の介護もスムーズになりました。

この事例から、認知症の利用者が話す内容を完全に理解できずとも、寄り添う姿勢を崩さない重要さを感じます。
利用者が穏やかに過ごせる時間が増えると、介護自体もスムーズにできるようになるのです。

日常会話で高齢者を笑顔にすることができた事例

ある介護施設でのエピソードです。
レクリエーションに参加せず、一人で外を見ている利用者がいました。

そこで、職員はその利用者に対して、幼少期の話題を明るく質問してみることにします。
すると、利用者は思い出に触れるような表情を見せ、幼少期の暮らしについて少しずつ語り始めました。

その際、職員は利用者の話すペースや関心事を尊重し、無理に話を引き出そうとせず、聞き手に徹したのです。
相槌を打ちながら、興味深そうに耳を傾け、「素敵なお話ですね」「どんな場所でしたか?」と続けます。

こうした傾聴によって、利用者はさらに積極的に話し、次第に表情も輝き始めたのでした。
職員は利用者が大切にしている価値観を知ることができ、利用者との距離感も一層縮まりました。

このことが利用者にとって大きな安心感になったようで、それ以降はレクリエーションにも少しずつ参加するようになったのでした。

このような事例から、単なる雑談でも、傾聴を意識することで安心感を与えられることがわかります。
特に介護現場では、利用者の過去の生活や価値観に共感することが、大きな安心感につながるでしょう。

寄り添う姿勢で、不穏をうまく対処できた事例

ある介護施設では、些細なきっかけで不穏になり、不安定な言動をする利用者がいました。
その日も、突然苛立ちを見せ、強い口調で「ここを出たい」と繰り返し始めたのです。

職員は動揺することなく、まずは利用者の話にじっくりと耳を傾けることから始めました。
このとき、職員は利用者の気持ちを否定せず「そのように感じられているのですね」とゆっくりと優しい口調で傾聴しました。

徐々にその利用者の表情から緊張が和らいだため、職員は「どのようなことが気になっているのか、お聞かせいただけますか?」と丁寧に尋ねます。
利用者が胸の内を話したところで、職員は手を取りながら「大丈夫ですよ、私はここにいます」と伝えたことで、利用者の気持ちは落ち着いたのでした。

この事例のように、頭ごなしに否定することなく、気持ちに寄り添う姿勢はとても大切です。
辛抱強く傾聴したおかげで、利用者が自然と安心でき、緊張感が和らいだ成功事例だと言えます。

まとめ

この記事では、介護現場でのコミュニケーション技術について、事例を交えて紹介しました。

認知症の高齢者に対して安心感を与えるには、コミュニケーションが鍵となります。
特に、非言語でのアイコンタクトやリアクションなどで、寄り添う姿勢が大切です。

介護現場においては、利用者の感情に共感しながら話を聴く「傾聴」がとても役立ちます。
利用者に深く寄り添うことで、潜在的なニーズに気づけるようになると信頼感も高まるでしょう。

また、実際の成功事例をケース別で3つ紹介しています。

  • 認知症の利用者とスムーズに意思疎通できた事例
  • 日常会話で高齢者を笑顔にすることができた事例
  • 寄り添う姿勢で、不穏をうまく対処できた事例

具体的な状況を思い浮かべることで、傾聴を実践する際の参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

以下の記事では、介護現場で使ってはいけないNGワードをチェックリスト形式で紹介していますので、合わせてご覧ください。

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