高齢者の社会参加とは?効果や課題を簡単に解説!地域活動の具体例も

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • 高齢者の社会参加について簡単に知りたい方
  • 社会参加を推進するための企画を考えている方
  • 実際に行われた地域活動の成功事例を探している方

この記事では、高齢者の社会参加についてわかりやすく解説します。

現在、高齢者の社会的孤立が問題となっています。
厚生労働省が実施した「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯のうち約半数が1人暮らしをしているという結果が報告されました。

生活のほとんどを家で過ごし、「1週間、誰とも話していない」「困った時に頼れる人が誰もいない」と、孤独感に悩む方が増えているのです。

このような社会的孤立の解決策として、地域活動への社会参加が推奨されています。
身近な場所での活動を通し、地域との繫がりを深め、交友関係を広めるためです。

この記事では、社会参加の種類や効果について、詳しく解説します。
あわせて、実際に行われた地域活動の具体例なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

高齢者の社会参加とは?簡単に解説

社会参加というと、仕事やボランティアといった、社会貢献をイメージする方も多いでしょう。

しかし、高齢者の社会参加とは、「外出し、他者と交流を持つこと」を指します。

具体例をいくつか挙げてみましょう。

  • 仕事をする
  • ボランティア活動に参加する
  • 趣味のクラブや習い事に通う
  • 老人会や町内会など地域のグループで活動する
  • 友人や家族と出かける

以前は、町内会などの地域コミュニティが活発で、近隣や地域との交流が盛んでした。
また、二世帯以上で暮らす家族も多く、日常生活の中で孤独感を抱える高齢者は少なかったと考えられます。

しかし、近年では地域との繫がりが希薄になり、核家族化が進んだことで、他者と交流する機会が減少しました。
そのため、新たな人との繋がりを築き、孤独感を解消する手段として、社会参加の重要性が高まっているのです。

高齢者が社会参加で得られる効果

高齢者の社会参加による効果は、大きく2種類に分けられます。

まず1つ目は、高齢者自身が得られるメリットです。

外出して人と交流することで、適度に体を動かし、健康寿命の延伸が期待できます。
また、人とのコミュニケーションは脳に刺激を与え、認知症予防も目指せるでしょう。

社会的に孤立し、孤独感に悩む高齢者は、6年後の死亡率が約2倍に上昇するというデータがあります。
(参考:東京都健康長寿医療センター研究所「<プレスリリース>高齢期の社会的孤立と閉じこもり傾向による死亡リスクが約2倍であることを発見」)

趣味や友人との楽しい時間、ボランティアなどやりがいのある活動は、いきがい作りのきっかけにもなります。
いきいきと活動的な第二の人生を送るためにも、社会参加は大きな役割を果たすでしょう。

次に、2つ目のメリットは社会貢献的な文脈です。

日本福祉大学が実施した「高齢者と社会参加頻度と介護費用についての調査」によると、趣味やスポーツの会に週1回以上通っている高齢者は、その後の介護費用が6年間で累計11~12万円ほど低い傾向があることがわかりました。

仮に、すべての高齢者が地域活動に参加した場合、6年間で介護費用を約20%削減できる可能性があるのです。

また、高齢者が再就職やボランティア活動を行うことで、人手不足解消に貢献することも期待されています。

2019年に厚生労働省が発表した健康寿命は、男女ともに70歳以上でした。
つまり、定年を迎えた後でも、従業員として十分な活躍が期待できるでしょう。

高齢者の社会参加が抱える課題

ここまで解説した通り、高齢者の社会参加には多くのメリットがあります。

しかし、厚生労働省が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、1年以内に社会参加をしていない高齢者が、約半数に上ることがわかりました。

高齢者が社会参加しない主な理由は、以下の通りです。

  • きっかけがない
  • 興味がある活動内容がない
  • 仲間がおらず、一人で参加することに抵抗がある
  • 活動の情報がない

一方で、「何か社会参加をしてみたい」と考えている高齢者も多く、全体の約80%にのぼります。
このことからも、意欲と活動が結びついていない現状がうかがえます。

新しいことを始めたり、初めてのコミュニティに参加したりする際は、若い世代でも緊張を感じるものです。
魅力的な活動の企画や情報発信に加え、最初の1歩を踏み出すきっかけ作りが重要といえるでしょう。

高齢者の地域活動例を3つ紹介!

前述した通り、高齢者の社会参加には多くの課題が存在します。
しかし、その一方で、全国には社会参加を成功させている活動や取り組みが、数多くあります。

特に注目を集めているのが、ボランティアや自治体などが運営する、地域に密着した活動です。
長年住み慣れた地域での交流が深まり、住民同士がお互いに助け合って暮らす「互助」の役割が期待されています。

この章では、実際に行われた地域活動や社会参加を推進するための取り組みの中から、成功した事例をいくつかご紹介します。

老人クラブで友達と楽しむ活動

老人クラブとは、地域に暮らす60歳以上の高齢者が自主的に集まって活動する組織です。

高齢者が生きがいをもって自立した生活が送れるよう、住みよい地域づくりを目指して活動しています。
「健康」「友愛」「奉仕」に基づき、レクリエーションやシニアスポーツを通じて、高齢者の閉じこもりや孤立を防ぎます。

元気な高齢者は、運営や企画などの役割をになってもらうことも多く、生きがいにも繋がるでしょう。

具体的な活動例
  • 会員宅の訪問活動
    元気な会員が月に1〜2回、介護が必要な方のお宅を訪問し、話し相手や家事など日常生活の支援を行う。
    孤立を防止するだけでなく、見守りや状況の確認にも役立っている。
  • ふれあいサロンの運営
    誰でも気軽に集まれる場として「ふれあいサロン」を運営し、企画や会場準備など全般を受け持つ。
    会員以外も利用できるため、新たな会員加入のきっかけにもなっている。
    地域住民の状況把握や安否確認の役割も果たしている。
  • 趣味や特技を活かした企画を実施
    会員以外も参加できる「抹茶をたのしむ会」や「マージャン大会」などを開催している。
    趣味や特技を活かした企画にすることで、日頃は来ない方々の参加が多く、新たな人脈作りに繋がっている。

シニアボランティアでの社会貢献

シニアボランティアとは、定年を迎えた60歳以上の方が活躍するボランティア活動です。

長年働いてきた方々の中には、退職後に社会での居場所がなくなったように感じ、喪失感を抱える方も少なくありません。
シニアボランティアとして、これまで培ってきた技術や知識、子育ての経験などを活かして社会貢献することで、新たな生きがいと居場所作りができるのです。

また、定期的に体を動かすことで、体力維持や認知症予防も期待できるでしょう。
人材不足に悩む介護施設などでの活動も多く、社会的意義の大きい地域活動だといえます。

具体的な活動例
  • 町づくりボランティア
    地域の公園や駅の清掃、イベント運営といった町づくりを行う。
    地域に根ざした活動が多く、気軽に参加できる点が魅力。
    若い世代も多く、幅広い年代との交流を楽しめる。
  • ガイドボランティア
    駅や観光地で、道案内や施設の魅力を伝える。
    住み慣れた場所の魅力を再発見できたり、外国人や若者など、普段触れ合う機会が少ない人と交流できる楽しみがある。
  • 防災パトロールのボランティア
    児童の登下校見守りや、防災パトカーでの巡回に参加する。
    子どもたちや地域住民とあいさつなどの交流がうまれ、顔見知りが増える。
    直接感謝される機会も多く、やりがいが大きいボランティア。

↓シニアボランティアに参加した方の感想は、以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

自治体による社会参加推進の取り組み

市町村などの自治体は、高齢者の社会参加を推進するため、さまざまな取り組みを行っています。
特に、公的機関ならではの信頼感を活かし、企業やボランティア団体と高齢者を繋げる取り組みが進められています。

「もう少し仕事をしたい」と考える元気な高齢者と地元企業を繋げることで、人手不足の解消や高齢者のいきがい作りをサポートしているのです。

具体的な活動例
  • 情報提供の総合窓口の設置
    「社会参加したいけれど、何をすれば良いかわからない」という方に向けて気軽に相談できる総合窓口を設置。
    健康状態や意欲に合わせて、地元のボランティアや企業を紹介する。
  • シニア向け合同企業説明会の開催
    警備会社や福祉施設など、シニア人材の採用に積極的な地元企業を集め、合同説明会を開催。
    「もうちょっと働きたい」というまだまだ元気で活躍が期待されるシニア世代と企業を繋げる役割を果たしている。
  • 有償ボランティアの実施
    換金できるポイント制のボランティアや、謝礼が出るボランティアを実施。
    「お金がもらえるならやってみよう」と社会参加のきっかけ作りを目指す。

【Q&A】よくある質問

高齢者の社会参加率を教えてください。

厚生労働省が発表した「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上のうち51.6%が、何らかの社会活動に参加しているというデータがあります。

高齢者になると、人との関わりが減少する理由を教えてください。

定年後、子どもが独立すると、職場や子どもの学校など社会や地域との関わりが減り、新たな出会いや交流を深める機会も減少します。

また、転倒などの不安から外出を控えるようになり、交友関係が減少するケースも多いようです。

高齢者が社会参加するデメリットはありますか?

体調面での不安がデメリットとして挙げられます。

若い世代に比べ体力や健康面に不安があるため、無理をして体調を崩す可能性は否定できません。
また、持病を抱える方も多く、無理のない範囲で健康維持を意識して続けることが大切です。

まとめ

この記事では、高齢者の社会参加について、その効果や具体的な取り組み例などを交えて詳しく解説しました。

医療の進歩により、2024年現在の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳となっています。

定年時に友人や家族との繋がりが豊かだったとしても、20年の間に関係が薄れ、孤立するケースはよく見られます。
こうした孤立を防ぎ、健康的で充実した生活を送るためにも、住み慣れた地域での社会参加は欠かせません。

しかし、多くの高齢者が社会参加に興味を持ちながらも、きっかけがなく始められずにいます。
魅力的な地域活動を増やし、「やってみようかな」と思えるきっかけ作りが、社会参加を促進するでしょう。

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