要介護認定とは?申請手順や認定基準・介護度シュミレーションを紹介!認定調査後にサービスを受ける流れ・更新方法も紹介

この記事で解決できるお悩み

  • 介護保険サービスを利用したいけれど、要介護認定についてよく分からない
  • 介護度を認定されるまでの手順を1から教えてほしい
  • 要介護認定を受けた後、サービスを利用する流れを詳しく知りたい

この記事では、要介護認定について、噛みくだいて分かりやすく説明します。

要介護認定とは何か?どのような基準で認定されるのか?認定されるためには、どんな手順で何をすればいいのか?等の疑問について丁寧に解説していきます。

この記事を読めば、要介護認定の全体像を掴むことができ、必要な対策がわかりますので、ぜひご覧ください。

目次

要介護認定とは?

要介護認定とは、高齢者に対して「どのような介護が、どの程度必要か」を判定するためのものです。

要介護認定では、高齢者の状態を「自立(非該当)」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の8区分に分類します。

要介護認定は、65歳以上の方であれば、どなたでも申請可能です。

65歳未満の方が認定を受けるには、以下の条件があります。
条件は、「特定疾病が原因で日常生活の自立が困難になっており、要介護・要支援状態が6ヶ月以上にわたって続くことが予想される場合」です。

介護保険制度により得られるメリット

介護保険制度では、要介護状態や要支援状態に認定された高齢者に介護サービスを提供しています。
そのため、介護保健サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。

介護保険サービスの例としては、介護士が自宅に訪問し、食事や掃除、入浴などの生活援助を行ってくれるものがあります。他にも介護施設への入居も可能です。

通常であれば、かなりの費用がかかるこれらの介護サービスですが、介護保険を使うことで1〜3割の自己負担で利用することができます。

介護認定を拒否する親の説得方法

もちろん、拒否される前に介護認定を理解して先手を打つことが理想ですが、親が嫌がるという場合もあります。

その時の、心情は主に以下の3種類に分類されます。

  • お金がかかることで迷惑をかけたくないという気持ち
  • まだまだ自分でできるから人に頼りたくないというプライド
  • 自分の家に他人が入るという環境変化への不安

親の心情を理解できたら、相手の目線に立って話すことで解決に近づきます。

親VS家族という対立構造ではなく、以下のように気持ちを伝えることがオススメです。

「家族は親が幸せに生活できるようにこの介護サービスを提案している」
「急に倒れた場合、対応が遅れたせいで状態が悪化したら悲しい」
という感情を伝えるようにしましょう。

そうすることで、頑なだった親の気持ちが緩まり、介護認定を受ける気持ちになってくれる可能性が高まります。

要介護認定の基準は?

ここまでは、要介護認定の概要を説明しました。

ここからは、要介護認定には「どのような基準があるのか」「あなたや親族がどの介護レベルに当てはまりそうか」を見ていきましょう。

要介護認定の基準は「その人の介護にどのくらいの手間がかかるのか?」という観点で決められています。結果として、「介護の手間」を数値化して表した「要介護認定等基準時間」によって要介護認定の基準が客観的に評価される仕組みです。

要介護認定の際に、介護として判断される内容について5つを図解しました。

分類内容
直接生活介助入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為輸液の管理、褥瘡(床ずれ)の処置等の診療の補助
参考1:厚生労働省、参考2:独立行政法人福祉医療機構

これらの介護に必要とされる時間を「要介護等認定基準時間」とし、介護度が認定されます。

要介護認定基準時間を表でわかりやすく解説

「要介護認定等基準時間」は、介護度別に以下のように定められています。

要介護度要介護認定等基準時間
要支援125分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援232分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護132分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護250分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護370分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護490分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5110分以上又はこれに相当すると認められる状態
参考:厚生労働省による「要介護認定はどのように行われるか

要介護認定で一番多いのは「要介護1」

厚生労働省の「令和2年度介護保険事業状況報告(年報)のポイント」によると、令和2年3月末時点における要介護(要支援)認定者数は合計669万人というデータが発表されました。

そのうち、要介護1に該当する人の割合が20.5%であり、要介護度を認定されている人の中では要介護1が最も多いという結果でした。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
14.1%13.9%20.5%17.1%13.3%12.5%8.6%
参考:厚生労働省による「令和2年度介護保険事業状況報告(年報)のポイント」

介護度チェックのシミュレーション

介護レベルを自分で大まかに確認できるチェックリストを載せておきます。

「要介護認定を受ける前に、自分がどの介護レベルかをざっくり知りたい」と考えている方は、ぜひ以下のサイトを参考にしてください。
「要介護認定 一次判定シミュレーション」のサイトで判定する方はこちらから。

要介護認定の申請方法は?

ここからは、要介護認定を受けるために準備すべきものや手順について解説します。

申請手順

要介護認定を受けるためには、まず本人が住んでいる自治体の窓口で申請を行います。
申請するための窓口がどこか分からないという場合は、総合案内で確認すると良いでしょう。

また、窓口に行くのが難しい場合は郵送も可能です。
郵送申請についての情報は自治体のウェブサイトで確認できます。

本人が申請できない場合は?

何らかの理由で本人が申請できない状況も考えられます。
本人が申請できない場合は、家族や親族が代わりに窓口で申請を行うことも可能です。

また、ひとり暮らしなどで頼れる家族や親族がいない場合は、以下の場所で申請の代行を行うこともできます。

  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所
  • 介護保険施設(入所している場合)

なお、入院している場合は、病院のソーシャルワーカーが自治体の窓口や代行施設に連絡を取って手続きを進めてくれることもあります。そのため、手続きを依頼できるかを事前に確認しておくと良いでしょう。

認定審査を受けるために必要なもの

申請の際には、以下のものを準備する必要があります。

  • 申請書
  • 介護保険の被保険証
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート等)
  • 健康保険の健康保険の保険証(40~65歳の方のみ)
  • マイナンバー通知書もしくはマイナンバーカード

申請は無料で行うことができますので、費用は必要ありません。

認定の流れ

要介護認定の申請を完了した後の流れについて解説していきます。

大枠の流れは、以下の順番です。

  1. 認定調査員による自宅訪問調査
  2. 医師による主治医意見書の作成
  3. 一次判定
  4. 二次判定
  5. 審査結果の通知

それぞれについて詳しく説明します。

1、訪問調査

訪問調査では、自治体の職員やケアマネジャーなどの認定調査員が、本人の自宅を訪問します。

そこで、対象者本人の心身の状態や日常生活の様子、住環境、家族の状況などについて聞き取り調査を行います。

聞き取り調査で聞かれる項目についていくつかの具体例を紹介します。

  • 腕や足などに麻痺があるか?(身体機能・起居動作)
  • 食べ物を飲み込めるか?(生活機能)
  • 生年月日や年齢、自分の名前を言えるか?(認知機能)
  • 昼夜逆転しているか?(精神・行動障害)
  • 金銭の管理はできるか?(社会生活への適応)

また、聞き取り調査には、可能な限り家族も同席するようにしましょう。

調査員の方に適切に認定してもらうためにも、質問される内容以外にも本人や家族が気になっていることを調査員に伝えるようにしましょう。特記事項として記入してもらうことで、要介護レベルを判定する上で重要な客観的材料となります。

2、主治医意見書の作成

訪問による聞き取り調査が終われば、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。
かかりつけ医師への作成依頼は自治体が行いますので、こちらは待っているだけで大丈夫です。

もし、かかりつけの主治医がいない場合は、自治体が指定する医師による診察が必要になります。

また、介護認定の更新を行う際にも診察を行うため、年に1回は健康診断を受けに行くなどし、心身の状態を確認してもらうのが望ましいです。

3、一次判定

一次判定はコンピュータによって行われます。
訪問調査でのヒアリング内容と医師によって作成された意見書をコンピュータに入力して判定されるのです。

コンピュータによる判定を行う理由は、客観的で公平な判定をするためです。

過去のデータから心身状態が近い高齢者のデータが探し出されるシステムで、なるべく公平な判定を行えるようになっています。

4、二次判定

コンピュータによる一次判定の後は、介護認定審査会による二次判定があります。
介護認定審査会というのは、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される組織です。

二次判定では、一次判定の結果や特記事項などを基に、介護認定審査会によって要介護度が判定されます。

5、結果の通知

上記の流れで、審査が進められ、要介護認定の判定結果が通知されます。
通知の形式は、認定結果通知書と認定結果が記載された被保険者証の郵送が届きます。

一般的に、介護認定の申請から結果通知までは、1か月程度の時間が必要です。
場合によっては、申請から判定まで2ヶ月かかる場合もあります。

こうして、介護レベルが認定されることで、要介護度に合わせた介護保険サービスを受けられるようになります。

認定調査が通りやすくなるようにするコツは?

認定調査で正確に判定してもらうためのコツをご紹介します。
コツとしては、訪問の聞き取り調査の際、具体的に普段の様子を伝えることが重要です。

例えば、介護が必要になった経緯や介護の状況(誰がどれくらいの頻度で行っているか等)を事前に整理してメモしておくと良いでしょう。

また、具体的なエピソードを伝えることで、認定調査員も介護の実態がイメージしやすくなるため、正確な判定結果が届きやすくなります。

結果通知後の動きは?

サービス利用の仕方

結果が通知されたら、介護保険サービスが利用できるようになります。

ここからは、介護保険サービスの利用方法について以下の3種類に分けて説明します。

Ⓐ要介護の方が自宅でサービスを受ける場合
Ⓑ要介護の方が介護施設でサービスを受ける場合
Ⓒ要支援1・2の方がサービスを受ける場合

Ⓐ自宅でサービスを受ける場合

まずは、自宅で受けられる介護サービスを利用する手順について解説していきます。

【1、居宅介護支援事業者を選ぶ】

居宅介護支援事業者とは、ケアマネージャーを配置しているサービス業者です。

居宅介護支援事業者は、介護施設に併設している場合もあり、利用者が適切な介護サービスを受けられるように関係機関との連絡や調整を行ってくれます。

どの事業者がいいか分からない場合は、地域包括支援センターに相談することで担当ケアマネージャーが決まることもあります。
担当のケアマネージャーとは、仲を深めることでお互いの理解が深まり、より適切なサービスを受けることにも繋がります。

【2、ケアプランを作成する】

担当のケアマネージャーが決まればケアプランを作成します。
ケアプランの作成は無料ですので、ご安心ください。

ケアプランとは、「どの介護サービスをどれくらいの頻度で利用するか」という計画書のようなものです。

ケアプランを作成するとき、本人や家族がサービス内容に関する希望をしっかりと伝えることが大切です。

【3、サービスを契約して利用する】

ケアプランが完成するとサービスを利用できるため、自宅で利用できるサービス事業者と直接契約を行います。

基本的に契約は本人が行いましょう。
もし本人が認知症などの症状により判断能力が無い場合は、代理人を立てて契約することも可能です。

契約時には、サービスの内容やかかる費用などについて、説明を聞きましょう。
後で問題になる可能性もあるため、不明な点や気になる点があればしっかりと確認することが大切です。

Ⓑ介護施設に入居する場合

介護施設サービスを利用したい場合は、以下の手順で手続きを行います。

【1、入居したい介護施設を選ぶ】

まずは、利用したい介護施設を探します。
探し方としては、インターネットや資料請求が一般的です。

そして、気になった介護施設については施設の見学や体験に行ってみましょう。

【2、ケアプランを作成する】

入所したい介護施設が決まれば、直接申し込みの連絡を行いましょう。

確認して入所できる場合は、施設のケアマネージャーとケアプランを作成します。

【3、サービスを利用する】

ケアプランの作成や施設との契約が完了したら、サービスを利用できるようになります。

契約時に施設側からサービスの内容や費用について説明があるはずですので、不明な点があればしっかりと確認することが重要です。

Ⓒ要支援の方の場合

要支援の方は、介護予防サービスを利用できます。
ここからは、介護予防サービスを利用するまでの流れについて紹介します。

【1、地域包括支援センターに相談する】

まずは、地域包括支援センターに相談し、担当の相談員を付けてもらいます。

【2、介護予防ケアプランを作成する】

次に、担当の相談員に介護予防ケアプランを作成してもらいましょう。介護予防ケアプランの作成は無料ですので、ご安心ください。

ケアプランを作成する際、担当の相談員にきちんと要望を伝えることが重要です。
具体的に「どのようなサービスを受けたいか」「どのような生活をしたいか」を伝えることで、適切なサービスを受けられるようになります。

【3、サービスを利用する】

ケアプランが完成したら、サービスを利用できるようになります。
利用したいサービスの事業者と契約を結び、サービスの利用がスタートします。

契約時には、サービス内容や費用などの説明を確認し、気になる点があれば質問するようにしましょう。

認定調査結果に納得できない場合は?

要介護認定の結果に納得できない場合もあります。

認定調査の結果に不服がある場合は、まず自治体に相談しに行きましょう。
自治体では、認定結果の理由について説明を受けられます。

理由を聞いても納得できない場合は、各都道府県に設置されている介護保険審査会に申し立てをすることが可能です。

なお、不服の申し立てについては、結果通知の翌日から60日以内に行う必要があります。
その後、申し立ての妥当性が判断された場合は再調査が行われます。

介護度を変更したい場合は?

不服を申し立てる以外に、再調査を受けられる方法として、区分変更申請があります。

区分変更申請とは、要介護認定の更新期日ではない段階で、要介護者の状態が急変した場合に再調査してもらうための措置です。

区分変更申請はいつでも可能であり、申請することで認定調査を受けることができます。
区分変更申請の手順は、基本的に介護認定の手順と同じです。

認定の有効期限と更新手続き

認定結果には有効期限があるため、定期的に更新する必要があります。
有効期限は新規申請の場合は6か月、更新申請の場合は12か月と異なっています。

原則として要介護認定の申請日から有効期限のカウントが始まります。

なお、更新は自動的に行われないため、注意が必要です。
有効期限が過ぎた場合は、認定の効力が無くなり、介護サービスが利用できなくなります。

更新の方法としては、有効期限満了日の前日から60日前までに申請を行う必要があります。
更新の際も、新規申請と同様の手順で、要介護度が判定されます。

まとめ

この記事では、要介護認定の概要や認定の手順、介護サービスの利用方法について詳しく解説しました。

要介護の状態が適切に認定されると、必要なサービスを受けられるようになります。

実際、認知症が進んできた高齢者の方とコミュニケーションを取ることは難しい面もあります。ただし、しっかりと制度を理解してメリットや手順などを正確に説明できると、高齢者の方も安心することが多いです。

この記事を読むことで、正確に要介護認定の制度や必要な動き方について理解していただけますと幸いです。

長い記事でしたが、最後までご覧いただき大変ありがとうございました。

こちらの記事では、要介護認定を受けたそれぞれの高齢者の状態やオススメのサービスについて丁寧に解説していますので、ぜひご覧ください。

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